大杉漣さん、「バイプレイヤーズ」共演者らにみとられ急逝…放送日に急性心不全、66歳

スポーツ報知
大杉漣さん

 映画「ソナチネ」「HANA―BI」などに出演し、ドラマやバラエティーでも親しまれた俳優の大杉漣(おおすぎ・れん、本名・大杉孝=おおすぎ・たかし)さんが21日午前3時53分、急性心不全のため死去した。66歳だった。20日は千葉県内で出演ドラマの収録に元気に参加。その後、ホテルに戻って体調不良を訴えた。あまりにも突然の訃報に、芸能界は衝撃に包まれた。

 映画やドラマで多彩な役を演じ分ける名バイプレーヤーが急死した。

 400本近くの映画に出演し、ドラマなどでも多彩な役を演じ分ける名バイプレーヤーが急死した。

 テレビ東京によると、大杉さんは20日、千葉県内で行われた出演中の同局系連続ドラマ「バイプレイヤーズ」(水曜・後9時54分)の撮影に参加。普段と変わらない元気な様子で芝居に臨んでいたという。

 午後9時頃まで撮影を行った後に共演者らと食事。その後、ホテルの自室に戻り、激しい腹痛を訴えたという。同番組で共演する俳優・松重豊(55)に介抱されてタクシーで同県内の病院に搬送され、共演者やスタッフらにみとられながら息を引き取った。大杉さんはこの日、CMの撮影を予定していた。

 大杉さんは18日まで自身のブログを更新し、愛猫との日常などをつづっていた。4月から日テレ系連続ドラマ「正義のセ」、舞台「1984」に出演を予定するなど、多忙なスケジュールで精力的に活動。この日午後10時頃、長男の写真家・大杉隼平さんが都内の自宅前で報道陣に「父は大きな病気もせず、元気な人だった。本当に急なことで整理がつかない」と対応。健康な様子から一転、あまりにも突然な別れとなり、憔悴(しょうすい)しきっていた。

 大杉さんは舞台を中心に活躍する中、オーディションで見いだされて出演した93年の北野武監督(71)の映画「ソナチネ」での暴力団幹部役で注目され、98年に同監督の「HANA―BI」などで報知映画賞助演男優賞などを受賞した。

 すごみのある悪役から人間味あふれる父親役など脇役で存在感を見せた大杉さんだが、最近ではバラエティー番組でも持ち味を発揮した。

 昨年1月から日本テレビ系「ぐるぐるナインティナイン」(木曜・後7時56分)の人気企画「ゴチになります!」にレギュラー出演。8月、9月放送分で同コーナー史上初の2週連続ピタリ賞として話題を集めた。また、BSフジの散歩番組「大杉漣の漣ぽっ」(土曜・後5時)で朗らかな人柄がお茶の間で親しまれていた。ドラマ、映画、バラエティーとまさに引っ張りだこだった。

 葬儀は大杉さん本人と家族の意向で親族のみで行われるという。後日、お別れの会が開かれる予定。

 ◆大杉 漣(おおすぎ・れん)1951年9月27日、徳島県小松島市生まれ。73年に舞台デビューし、74~88年に劇団・転形劇場に所属。80年、新東宝映画のピンク映画「緊縛いけにえ」で映画デビュー。98年「HANA―BI」「犬、走る DOG RACE」で報知映画賞助演男優賞を受賞した。以降は映画、ドラマで活躍。17年からは、日テレ系「ぐるぐるナインティナイン」の「ゴチになります!」でバラエティー初レギュラーも務めていた。

 ◆急性心不全 心臓のポンプとしての役割が落ち、送り出す血液量(心拍出量)が低下した状態。呼吸困難、チアノーゼ、うっ血などの症状が出る。元々、心臓病を持っていない人で急に心臓の働きが低下して心不全症状が出た場合を「急性―」という。多くは風邪、過労、ストレス、薬の中断、高血圧の放置、貧血などが引き金になる。

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