セカンド・SHOKICHI「存在意義はあるのか」から「音楽やる意味」へ

スポーツ報知
EXILE THE SECONDの新曲「アカシア」で作詞・作曲を手掛けたSHOKICHI(カメラ・頓所 美代子)

 人気ダンス&ボーカルグループ、EXILE THE SECONDの新曲「アカシア」が22日に発売された。作詞・作曲を手掛けたSHOKICHI(32)は「レゲエをベースにしR&Bも入ったハイブリッドな曲に仕上がった」と手応えを感じている。セカンドのボーカルを担当する一方でEXILEではパフォーマーとしても活躍しているが、当初は「自分がここにいて存在意義はあるのか」と深い悩みに入っていたという。SHOKICHIが音楽を目指したきっかけ、現在のグループでの立ち位置など本音で語った。

 9枚目のシングルはレゲエをベースにR&Bやポップスも入れ込んだ作品で、グループの特長を意識した仕上がりになっている。

 「セカンドはみんないい大人ですし、変幻自在というか、ジャンルにこだわらずいろんな音楽にアプローチできるのが強みです。前作はロックベースでしたが、今回はレゲエにR&Bの要素もメロディーラインに入れてます。自分はいつもいろんな音楽のジャンルが交ざり合ったハイブリッドな曲を目指しています。今回の曲作りはすんなり進み、メロ(ディー)が言いたそうな、自分が書きたいセンテンスがうまくまとまったと思います」

 ―作詞用のメモを持っているとか。

 「はい。気付いたらすぐ書き留めてます。ただいつも歌詞がメロにはまるワケではないので、締め切りには常に追われている感はあります。今書いている作品も最後の一行が1週間出てこない。8文字ぐらいなんですが…。携帯電話の中にもタイトルになりそうな言葉がダダダ…と並んでいて、その中にアカシアというフレーズがありました。響きもいいし『秘密の恋』という花言葉もピタッときました」

 音楽に目覚めたのは小学時代。野球に明け暮れた少年は初めて目にしたギターに夢をかき立てられた。

 「小6の時に学校にお兄ちゃんのエレキギターを持ってきた友人がいて、野球しか頭の中にない自分は『こんなカッコいいものがあるのか』と一撃されました。決定的だったのは中2の時に真駒内アリーナで初めて見たLUNA SEAのライブ。大爆音でまさに雷に打たれた感じで『無理でもあそこを目指そう』と。バンドを組もうとなったんですが、苫小牧は田舎でギター(持っているの)がギリギリで、ベースの経験者もいなくて、ドラムに至っては立候補制でした。野球で高校進学しましたが、音楽熱は冷めず、母親に『野球をやめたい』と言うと泣いていました。MTR(マルチトラック・レコーダー=録音再生ができる機器)を一人1、2万円くらいを出し合って買って、夏休みは一日中曲作り。出来上がると『やばい。ビートルズを超えた』とか、自分たちで作ったモノがうれしすぎて何回も聴いてました」

 ―大学での音楽活動が今につながった。

 「大学で(歌手の)佐藤広大と出会ってから自分の人生が大きく動きました。R&Bとヒップホップに精通していて、ロック中心だった自分に刺激を与えてくれました。彼とクラブで歌っている中で新たに2人が加入。4人で道内をライブで回っていた時に、メンバーの一人がEXILEのボーカルバトルのチラシを持って来ました。“ビビビッ”といったら結果論ですが、4人で受けたら佐藤と僕だけが1次審査を通りました」

 TAKAHIROが選ばれたオーディションには約1万人が参加。1次、2次と審査が進む中で人生の転機を感じていたそうだ。

 「1次で何人残ったのかネットで調べたら100人ぐらい。『えっ、1万人から100人なのか』。自分の人生で何が起こっている。『ゴゴゴゴー』って大きな音が聞こえました。2次審査は東京でした。お金がないから佐藤と漫画喫茶に泊まってフェリーで帰ったんですが、船中で携帯が鳴り『2次審査受かりました』と。頭の中の『ゴゴゴゴー』はもう大音量に…(笑い)。3次ともなると親もちょっとだけ応援してくれたのか、母が札幌で審査用に衣装を買ってくれました。その服は今でも持ってます」

 ―3次で落選したが…。

 「最後の11人目までいきましたが…。手に取れる感覚があったので余計悔しかったですね。でも、目標がある場所とそこまでの距離、行き方を計算できて、そこからものすごく練習しました。07年1月25日に(二代目)JSBに選ばれた時にはそれまでの苦労が走馬灯のように思い出されて、涙があふれて…。これで歌えると気持ちも高ぶりました」

 その後、あこがれのEXILEへ加入するが、先輩とのレベルの差やパフォーマー兼任となったことでグループでの“存在意義”を見いだせずに苦しんだという。

 「EXILEへ入った時はうれしいより『やばい』と思いました。近くで見ていたから歌やダンス、アーティストの感性など、その凄(すご)さを肌で分かっていました。自分はまったく足りてないんですね。それにパフォーマーという立場もです。ずっと歌をやってきたので歌わないでここにいていいのか。俺じゃなく違う人が入ってもたぶんEXILEは何も変わらないんですよ。『えーっ、俺の必要ゼロなの』―。そう気付いた時はまったく悲しいもので、一時期は自分の存在意義が分からなかった。25歳のころですね」

 ―どう解決したのか。

 「元々やっていた曲作りをしようと音楽機材をそろえ、仲間も集めました。作品をCDに焼いてHIROさんとATSUSHIさんに『将来、作曲やプロデュースしたい』と手紙も添えて渡しました。その中でATSUSHIさんが『この曲いいじゃん』と言ってくれたのが『Everlasting Song』(12年、『EXILE JAPAN』に収録)です。初めて作詞・作曲した作品を披露し、ファンの方からレスポンスをもらった時に『俺が音楽やる意味があるかも』と存在意義を感じました。自分の歌に自分が救われました」

 存在意義を見つけるとすぐに行動に出た。ソロ活動をHIROらに直訴した。

 「たとえばファンがEXILEのライブで『一番後ろで踊っているSHOKICHIって歌えるの?』と思う場面があったとします。ソロで有名になっていれば『ライト・ダルビッシュ』ではないですが“そんな凄い選手が外野にいるチームって何?”みたいな。そんな思いを企画書にしてHIROさんに提出し、メンバー会議で生意気にも『ソロをやりたいんです』とプレゼンしたところ、HIROさんが『そんなビジョンを持っているんだ。やりなよ』と。グループのために自分も貢献しようと思いました」

 ―EXILEが再始動したが。

 「ATSUSHIさんの歌声は何次元もパラレルワールド(別空間)ぐらい違うし、一緒にできて興奮もあります。自分は『ライト・ダル』まではいけませんが、みんなそれぞれのフィールドで戦って成長してきた仲間がまた招集される。メンバーの新たな人間ドラマも伝わればいいと思います」

 あこがれと妄想を具現化する突破力。苦労も楽しみ落とし込める鈍感力。正直に音楽に向き合うロマンチストなのである。(ペン・国分 敦)

 ◆大人のラブストーリー描く

 SHOKICHIが作詞・作曲した「アカシア」はこちら(QRコード)から試聴できる。2月22日の“セカンドの日”にリリースした新曲は、レゲエとベースミュージックを基調にしたサウンド、危険な恋と葛藤を描くスリリングな歌詞が織りなす、まさに大人のラブストーリーになっている。

 ◆EXILE SHOKICHI(エグザイル・ショウキチ)本名・八木将吉。1985年10月3日、北海道苫小牧市生まれ。32歳。苫小牧工から札幌国際大に進学。2006年に「VOCAL BATTLE AUDITION」で3次審査で落選。07年に新生J Soul Brothersのメンバーに。09年EXILEに加入し、12年からEXILE THE SECONDとしても活動。14年に「BACK TO THE FUTURE」でソロデビュー。昨年から「LDH music&publishing」の取締役を務めている。身長183センチ、血液型A。

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