岩田剛典、次なるステージの扉を開いた魂の演技

スポーツ報知
自らの役者像、グループへの思いを語った岩田剛典(カメラ・小泉 洋樹)

 人気ダンス&ボーカルグループのEXILEと三代目J Slou Brothersのパフォーマーで、俳優としても活躍する岩田剛典(29)の初となる単独主演映画「去年の冬、きみと別れ」(瀧本智行監督)が10日に公開される。岩田は「役者として新たな扉を開いてくれた」という作品での演技に充実感を漂わせながら、パフォーマーとの2足わらじには「自分は歌うわけではないので映像作品はソロアルバムみたいなもの」と役者へのこだわりも見せた。今年から活動再開するEXILEには「自分がここでパフォーマーでいる意味を最近はよく考えます」とも。岩田が思う役者像、グループへの思いに迫る。(取材・国分 敦)

 映画は芥川賞作家・中村文則さんの同名のサスペンス小説の実写化。岩田演じるライターの耶雲恭介が撮影中に起きたモデル焼死事件をカメラマン(斉藤工)による猟奇殺人と感じ、雑誌社の編集者(北村一輝)にネタを持ち込むが―。誰が“悪”なのか予測不能な内容で、高い演技力が求められる作品だ。

 「実写不可能と言われていた作品で、脚本を読んで素直に面白いと。でもごまかしは利かないとも感じました。緻密なストーリー展開ありきで、1個でもボタンの掛け違いがあるとクライマックスには行けない重厚さがあります。芝居そのものが評価されるだけに自分にとって大きな賭けでしたが、やばいとか焦りとか、後がないとか…危機感を感じることは逆に自分にとってチャンスだと言い聞かせました。こんな作品が毎年できるか分かりませんし、参加できて良かった。今は充実感に満たされています」

 三代目JSBやEXILEの中で絶大な人気を誇るが、目立つほどに役者としては悩ましい部分もあった。だが今回、演技者として正当な評価を受けたことに手応えを感じたようだ。

 「オファーはシンプルにうれしかったです。いわゆる王道のキラキラのラブストーリーものじゃない。今まではEXILEや三代目のアーチスト人気を加味した出演が多かったと思いますが、今回はそういう部分を利用しないキャスティング。少ないながら自分のやってきた芝居の経験が認められたのかな、と実感できました。僕は音楽も芝居も好きです。同じ芸能というくくりですが方法も仕事場も違うし、一緒くたにしないで評価してほしい気持ちはあります。自分が色眼鏡で見られてしまうのは仕方がない。歯がゆさはありますが、それを打破するのも自分の力でしかない。この作品で僕を初めて知る方も『実はこういう人間なんだ』と印象が変わることもあるでしょう。そうなればうれしいし、次なるステージの扉を開いた意味ある1本です」

 今年からEXILEが再始動する。久々の活動にメンバーの一員として強く責任感も感じている。

 「元々自分の芸能活動はEXILEにあこがれて始まったし、今の活動すべてがその延長で繋がってきました。でもどうでしょう。グループのあり方自体がこれからは変わっていくと思うんですよね。僕が『また新しいことをやります』というようなスタイルがEXILEのスタンダードになっていくというか…。僕は『LDHを背負っていく』というのは結構言ってますが『EXILEを背負っていく』というと、みんな『うんっ』と思うだろうな。でも、気持ち的にはそうで、そうじゃないとHIROさんが悲しむ。そうじゃないと自分がメンバーの一員でいる意味がないと思っています」

 ―自分が活躍することでEXILEは活性化すると。

 「結果としてそうですね。僕はマイクを持っていないし歌ってもいないので、出演した映画とかはある意味アルバムなんですね。そう、ソロアルバムを出す感覚で自分のアイデンティティーの一つになっています。それにソロ活動の評価でグループの印象も変わっていくと思いますよ。特に露出しない時期があるグループは、個々の活動でイメージが左右される時代です。ソロを活発化することで印象をうまく刷り込めるからこそ、みんなが研ぎ澄まされてないといけないし、自分もそこから刺激を求めたいと思います。最近よくEXILEのことを考えるんですよ。パフォーマーって俺じゃなくてもいいって、めちゃ思いますよ、本当に…。今、本気で悩んでいるんです(笑い)。とにかくEXILEはファンも多くていろんな世代の方が待っててくださる。今年ツアーでは『お待たせしました』という気持ちで、思いっ切りエンタテインメントをやりたいと思います」

 ◆岩田 剛典(いわた・たかのり)1989年3月6日、愛知・名古屋市生まれ。29歳。慶大在学中に出会った三代目J Soul BrothersのNAOKIの誘いを受け、就職先の内定を辞退し、ダンスの世界へ。2010年9月、三代目JSBメンバーに。14年、EXILEに加入。俳優デビューは11年の日テレ系「ろくでなしBLUES」。16年に初めての映画「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」で報知映画賞を始め、各映画賞で新人賞を総なめ。4月から日テレ系「崖っぷちホテル」(4月15日スタート、日曜・後10時半)に主演する。身長174センチ、血液型B型。

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