たけし、興味は映画から小説へ TVレギュラー6本は変更なし

タレントのビートたけし(71)が3月末で所属事務所のオフィス北野を退社して独立することが14日までに分かった。4月からは、4年前に「愛人」と報じられたこともあるビジネスパートナーの女性と設立した会社「T.Nゴン」に所属して活動する。たけしの興味は映画から小説に移っているといい、自らのやりたい仕事に没頭できる体制にしていくようだ。たけしは古巣に対し、自らを慕う軍団を残して「オフィスたけし軍団」と名称変更して再出発することを進言している。
芸能界の重鎮として40年近くも頂点に君臨し、北野武名義では世界的な映画監督でもあるたけしが古希を超えて新しい道に進むことになった。
オフィス北野の設立当初から二人三脚で歩んできた森昌行社長(65)は、たけしの決断について「仕事ではなくて、たけしさんの人生のお話ですから」と尊重している。昨秋以降、たけしから仕事や権利関係の移行について相談を受けるようになり、年明けから独立に向けての動きが急速に本格化したと説明。4年前に週刊誌でたけしの愛人と報じられ、新会社「T.Nゴン」をたけしとともに率いる女性については「私は会話したこともない方ですが、たけしさんからは『ビジネスパートナー』という説明を受けました」とした。
たけしは1986年のフライデー襲撃事件の後、当時所属していた太田プロを退社。88年に森氏とともにオフィス北野をたちあげると、たけし軍団らも所属する会社を自ら稼ぎ頭として支えてきた。さらに自らの監督作の多くを同社で製作・配給。世界的評価を受ける礎となってきた。
今後、どのようにたけしと関わっていくかについて、森社長は「もう、こちらが窓口になって仕事を受けることはないです」とし、既にテレビ各局や出演CMに関わる広告代理店に説明を済ませ、引き継ぎ期間に入っていると明かした。テレビ朝日系「ビートたけしのTVタックル」などレギュラー番組6本に変更はない。映画については「たけしさんの興味は今、映画よりも小説に向いているので、映画ありきということは考えていません」としながら、別の事務所関係者は「映画については今後も協力体制を敷いていきます」とも話している。
たけしは昨年、初の恋愛小説「アナログ」を出版。直木賞を目指す趣旨の発言をするなど作家業に強い関心を示している。資金を要する映画製作とは別の夢を抱いたことも、独立を後押しした可能性がある。今後は会社や軍団のためではなく、自身のために時間を有効に使えるようになることは間違いない。たけしが新境地を開拓する。
◆ビートたけし 本名・北野武(きたの・たけし)。1947年1月18日、東京都足立区生まれ。71歳。明大を中退後にタレントを目指し、73年にツービート結成。80年にブレイクしてから、フジテレビ系「オレたちひょうきん族」、日本テレビ系「天才・たけしの元気が出るテレビ!」などで活躍。83年公開の映画「戦場のメリークリスマス」など俳優としても活動。89年に「その男、凶暴につき」で監督デビュー。97年の「HANA―BI」でベネチア国際映画祭金獅子賞(グランプリ)、2003年の「座頭市」で監督賞受賞。04年には明大の「特別卒業生認定制度」第1号に選ばれた。
◆ビートたけしの手掛けた主な小説
▼「教祖誕生」(90年) 新興宗教に紛れ込んだ青年を描く。
▼「佐竹君からの手紙」(95年) たけし軍団の若手芸人・佐竹チョイナチョイナが主人公。
▼「菊次郎とさき」(99年) 両親の名前をタイトルにした。
▼「アナログ」(17年) 「ゴーストライターではなく、初めて自分で書いた」という恋愛もの。