朝美絢、男役10年目「義経妖狐夢幻桜」に挑む

スポーツ報知
「ビジュアルを評価していただくことも多いので、そこは先端を行きたい」と話す雪組スター・朝美絢

 宝塚歌劇雪組スター・朝美絢(あさみ・じゅん)が、29日~4月9日に上演される「義経妖狐夢幻桜(よしつねようこむげんざくら)」(作&演出・谷貴矢)で兵庫・宝塚バウホール単独初主演を務める。昨年5月に月組から異動し、入団10年目の節目で迎える大舞台。「いい意味で余裕が出てきましたが、そこで立ち止まらず、攻め続けたい」とアグレッシブに語る。(筒井 政也)

 月組時代の「A―EN(エイエン) ARTHUR VERSION」(2015年)以来のバウセンター。ワークショップという実験色の濃い舞台で、暁千星(あかつき・ちせい)とのダブル主演という形だったが、今回は堂々の単独。背負う期待も大きくなるが「和物ということにビックリ。役柄がうれしい」と、源義経を題材にした“和風ロックファンタジー”に心を躍らせた。

 平家討伐で英雄となったものの、兄・ヨリトモ(源頼朝=永久輝せあ)に命を狙われ、追われる身となったヨシツネ(朝美)が、ツネと名乗るキツネつきの女(星南のぞみ)から異空間の不思議な村へ誘われて…。

 頼朝が幕府を創立した鎌倉出身とあって「小学生の時に授業で源氏についてすごく調べました。頼朝より義経が好き。ヒーローのイメージですね」。身体的強さを体現するために筋トレにも励んでいるが、大事なのは「受け」の芝居。“無幻ループ”するパラレルワールドに巻き込まれ、疑心暗鬼になるさまを表現していく。「真ん中だからとはあまり思わず、いつも通り役に集中すればいいかな」

 演出の谷氏からは「“葛藤”してほしい。迷いの中から何かを見いだす姿を見せてほしい」と注文された。もがきつつも、ひたすら前を目指すタカラジェンヌとも重なるが「ヨシツネは過去に悩んでいるんですが…。私はまだまだ突っ走っているところ(笑い)」。エネルギッシュな笑顔だ。

 昨年5月、月組から雪組に異動した。「クールな印象を勝手に持っていたんですが、皆さん熱くて。お芝居を綿密に作る部分は月組と似ていて、すんなり入れました」。取り組み方にも変化が。「与えられたものを想像以上のレベルで見せたいという意識が上がりましたね。『やらなければ』が『やってやろう』に。自分の中ではプラスになりました。ありがたい。このままの勢いでいけたら」と大きな瞳を輝かせた。

 トップスター・望海風斗(のぞみ・ふうと)とは大劇場公演「ひかりふる路(みち)」で初共演した。「歌声のすごさに最初、あぜんとして。自分もそんなふうに歌えるんじゃないかという錯覚に陥りそうに(笑い)。もっと勉強したいというきっかけになりました。ついていきたい」と、さらなる経験値アップを期す。

 一人前の節目“男役十年”の10年目のテーマは「攻めたい!」と即答した。「老若男女問わず、いろんな役をやりたい。もう『組替えしてきた朝美絢』という目では見られないと思うので、常に新鮮な存在でいたいですね」。雪組に新しい春を呼ぶ。

 ◆朝美 絢(あさみ・じゅん)11月6日生まれ。神奈川県鎌倉市出身。2009年4月「Amourそれは…」で初舞台。95期生。月組に配属され、2度の新人公演主演を務める。15年バウワークショップ「A―EN」で宝塚バウホール初主演。17年5月に雪組に組替えされた。身長169センチ。愛称「あーさ」「J」。

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