襲名断念・三遊亭好の助を落語家仲間が支援 有志で「真打ち昇進を祝う会」開催

スポーツ報知
三遊亭好の助(右)の真打ち昇進を祝う会を“プロデュース”する春風亭昇也

 3代目林家九蔵襲名が取りやめとなった落語家・三遊亭好の助(35)の真打ち昇進を祝う会が、落語家有志の主催で開催されることが9日、明らかになった。5月17日の午後7時から東京・日本橋劇場で行われる。

 三遊亭好楽(71)の3番弟子・好の助は5月の真打ち昇進を機に、好楽の前名だった林家九蔵襲名することを昨年末に発表していたが、3月に入り林家正蔵(55)サイドから“物言い”がついたことで襲名を断念。好の助のままで真打ち昇進することを決断し発表。異例の襲名取りやめがワイドショーで取り上げられるなど落語界だけでなく、大きな話題を呼んでいた。

 今回の騒動に落語仲間が立ち上がった。好の助と同い年の二ツ目・春風亭昇也(35)だ。落語芸術協会所属の春風亭昇太一門で、5代目円楽一門会所属の好の助とは所属団体は違うが、交流が深いこともあり、支援に乗り出した。

 きっかけはツイッターだった。好の助の襲名断念を知った昇也は3月3日に自身のツイッターで「俺ね、兄さんにお世話になってるし同い年だからこの状況耐えられないんですよ。ちょっと思いつきなんですけど、手拭いとか扇子とか後ろ幕とか出来てて使えない訳でしょ、この代金を有志の仲間で落語会やって補えないかなと。木戸銭全てその補填にあてる会。日程も何もこれからだけど有志募集します。」とツイート。そのつぶやきに落語家仲間を中心に大きな反響があった。

 昇也は、好の助はもちろん、早い段階で協力を申し出てくれた落語家と日程を調整、会場も押さえて5月17日に実施することを決めた。

 名称は「三遊亭好の助 真打昇進を有志で祝う会」にした。昇也は「ネガティブな空気を一掃するためにお祭りを開こうということです」と説明。自身のツイッターで会の告知を発表しただけで、積極的に声かけはしていない。「出演は“募集”ではなく、随時“受付”している形です。賛同してくれるかたは連絡をもらえれば…」とボランティアで好の助を応援したいという心意気のある落語家の反応を待っている状態だ。

 支援の輪は広がっている。昇也は「色物さんやお囃子さんからも協力するよっていう声をもらった。会場提供の申し出もありましたし、手伝ってくれるお客さんもいます。うれしいことですよね」と反響の大きさを語っている。

 すでに参加表明した落語家もいるが、当日まで出演者はシークレットだ。「名前を出せば宣伝になるかもしれないけれど、来てくれた人だけのお楽しみにしたい。出演者がつぶやいたり、ブログに書いたりするのは止めませんが主催者としては発表しません」と昇也は言う。出演者全員で口上を行う予定で、「何人出るか直前まで分からないので、長くなるかもしれないです。そうなったら落語の時間が短くなるかもしれないですけれど…」と話している。

 出演者はもちろんギャラなしの完全ボランティア。さらに経費を抑えるためにチケット会社を使わず、メールでの予約販売と当日販売に限定。受付なども有志で行う。予約特典として粗品を進呈し、当日、募金に協力した人にも粗品がプレゼントされる。

 大看板の落語家が主催し、収益を寄付するような支援落語会は今までもあるが、若手落語家が呼びかける“支援の会”はこれまでほとんどない。個人事業主で団結するのが苦手という落語界では異例の展開。若手落語家の“つぶやき”から始まった支援の輪は所属団体の垣根を越えてどこまで広がるか。注目が集まる。

 ◆三遊亭好の助 真打昇進を有志で祝う会 2018年5月17日 日本橋劇場(日本橋公会堂4階ホール)午後6時30分開場、午後7時開演。予約2500円、当日2800円、全席自由。主催・問い合わせは「有志の会事務局」(アドレスはkakkou1982@miura-re-design.com

 ◆三遊亭好の助(本名・植木啓太)1982年8月5日、東京生まれ。35歳。2005年に三遊亭好楽に入門し「かっ好」。08年10月に二ツ目に昇進し「好の助」。父親はマジシャン・ナポレオンズのボナ植木。

 ◆春風亭昇也(本名・松本和也)1982年6月18日、千葉生まれ。35歳。2001年、漫才コンビ「メロンソーダ」を結成も07年に解散。08年に春風亭昇太に入門、13年に二ツ目昇進。落語芸術協会の二ツ目で結成されたユニット「成金」で活動。18年3月「彩の国落語大賞」を受賞。

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