藤井聡太六段、史上最年少の七段に王手
スポーツ報知
将棋の史上最年少棋士・藤井聡太六段(15)が10日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた第31期竜王戦のランキング戦5組準々決勝で阿部光瑠(こうる)六段(23)に後手番の136手で勝ち、史上最年少での七段昇段に王手を掛けた。
大激戦を制した直後でも、藤井は楽しいショーを観劇した後のように柔らかな笑顔を浮かべていた。「序盤で形勢を損ねてしまいました。最後まで分からない状況でした」。穏やかな声で勝負を振り返った後で「竜王戦のランキング戦でベスト4まで来ることができたので、本戦を目指して頑張りたいと思います」と次局を見据えた。
相手の阿部は2011年に弱冠16歳で四段昇段を果たし、3月には佐藤天彦名人(30)にも土をつけた若き実力者だ。形勢不明のまま両者1分将棋に突入した本局の終盤でも難解な勝負手を連発したが、藤井はクールに対応。逆転を許さなかった。
価値ある1勝で、超高速での七段昇段にリーチを掛けた。竜王戦5組は決勝進出が決まった時点で来期の4組昇級が確定する。今期、6組から昇級したばかりの藤井は今月下旬~5月上旬に予定している準決勝(石井健太郎五段・船江恒平六段戦の勝者)に勝利すると、七段昇段規定のひとつである「六段昇段後、竜王戦ランキング戦の連続昇級」の条件を満たし、段位を上げることになる。
過去の最年少七段は、1957年に「ひふみん」こと加藤一二三九段(78)が昇段した際の17歳3か月。現在15歳8か月の藤井は今年2月1日に五段に昇段し、わずか16日後に六段に。普通の棋士が10年単位でひとつずつ上がる階段を軽やかに駆け上がっている。
高校の入学式を7日に終えたばかり。柔和な笑顔は中学生時代と変わらないが、淡々と勝利を振り返る姿には勝負師の風格が漂い始めた。(北野 新太)