池上彰氏が北朝鮮による拉致被害者の蓮池薫氏初対談「非常に大きなチャンス」

スポーツ報知
池上彰氏(左)と初対談、南北首脳会談を受けて拉致問題解決に期待を寄せた蓮池薫氏(C)フジテレビ

 拉致被害者の蓮池薫氏、南北首脳会談で「非常に大きなチャンスが到来しつつある」拉致問題の進展に期待

 北朝鮮による拉致被害者の蓮池薫氏(60)が28日、ジャーナリストの池上彰氏(67)と初対談。27日に行われた南北首脳会談について「非常に大きなチャンスが、今、到来しつつある」と今後に期待を寄せた。この様子は29日のフジテレビ系「池上彰緊急スペシャル 激動の朝鮮半島!どうなる拉致問題!平成の宿題 徹底解説」(後7時)で放送される。

 11年ぶりに南北首脳が握手を交わし、友好ムードで進んだ27日の会談。これまでの対決姿勢から一転、にこやかな表情で現れた金正恩委員長だったが、蓮池氏は「演技だと思います。演技というよりは、これから自分たちが求めることの為にはああいう姿勢をとっていかなければ駄目だということからの演技・行動だと思います」とバッサリ。方向転換は核開発と経済発展の並進路線の行き詰まりからと分析し、「国内的には行き詰まったとは言えないため、(核開発を)勝利という形にして終わらせ経済発展という方向に向かった」と冷静に語った。

 さらに、共同宣言で「核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した」と言及したことに蓮池氏は注目。「北朝鮮が非核化に動こうとする兆しが見えている。つまり、核・ミサイルの問題が解決する可能性が見えてきた。ならばそこに拉致問題さえ解決すれば、2002年の(日朝)平壌宣言がもう一回復活する可能性が出てきているわけです。だから非常に大きなチャンスが今、到来しつつある」と、拉致問題の進展に期待を込めた。

 池上氏は、今回の首脳会談は日本にとって蚊帳の外と考える人が多い中、蓮池氏が大きな期待していることに驚き。「これは拉致問題を解決するチャンスなんだと話されました。積極的に受け止めており、日本政府に対する思い、期待をヒシヒシと感じました」と印象を語り、「当然のことながら、北朝鮮のような国に支援するのか?という声もある。拉致問題を解決するために日本政府の大胆な妥協って事もあり得る。それを認めて欲しいと。核とミサイルの放棄がもちろん前提になっていて、そこに拉致を解決すれば日朝平壌宣言に立ち戻れる。そうなった場合は、政府の方針を支持して欲しいという気持ちが良くわかりました」と受け止めた。

 蓮池氏は対談で、拉致された当時の生活や、02年の小泉元総理初訪朝の時の様子、なぜ蓮池氏らが日本に一時帰国するメンバーに選ばれたのか。さらに、まだ北朝鮮に拉致され戻ってこられない日本人への思いについて語る。初めて本人の口から生々しい証言を聞いた池上氏は「拉致被害者は何人もいるのに、なぜ蓮池さんや地村さんが選ばれたのか、疑問や憶測があった中で、蓮池さんが『子供が(北朝鮮に)いて人質がいるから、日本にとどまりたいと言わないと思われて自分たちが選ばれたのではないか。また戻ってくるだろうと北朝鮮が考えた人だけを日本側に帰したのではないか』とご本人の口から聞いたのは初めてなので、なるほどと思いました」と納得した様子だった。

 約1時間の対談を終え、「(池上氏の)引き出すテンポが上手く、ついつい話してしまいました」と語った蓮池氏。北朝鮮での生活について詳細に明かしたが、「使命感もありますし、国民にも関心を持ってもらうためには、一般論ではなく現実を聞いてもらうのが大前提。あとは外交問題なので、北朝鮮の体制を露骨に批判はしません。それ以外は、そのままを伝えていこうと覚悟を決めています」と語る一方、拉致問題を解決するという問題は、外交問題であると再認識してもらいたいと強調。「外交というのは、ギブ&テイク。力尽くではないんです。外交交渉で解決するためには、日本も柔軟な姿勢を見せなくてはならない。そういう意味では、寛大な思いで、これから日本政府がやっていくであろう交渉を応援してもらえたらという思いを伝えたかった」と語った。

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