映画「ボヘミアン・ラプソディ」70億円突破 2018年公開興行収入1位見えた

スポーツ報知
フレディ・マーキュリー役を熱演したラミ・マレック(C)2018 Twentieth Century Fox

 英ロックバンド「クイーン」のボーカリストで91年に亡くなったフレディ・マーキュリーさん(享年45)の自伝的映画「ボヘミアン・ラプソディ」(ブライアン・シンガー監督)が、1月中にも2018年公開の洋画の興行収入でNO1に躍り出ることが31日、分かった。

 ほとんどの映画が公開1週目の興収が最もいい成績となる中、11月9日の公開から、5週目まで連続で前週の週末の興収を超えるという超異例のロングヒットを記録。1週目の土日の興収は3億5439万円。2週目が3億8850万円と1週目を上回り、その後も3週目が3億9502万円、4週目が4億9604万円、5週目が5億717万円と数字を伸ばした。12月29日には累計動員508万人、興収70億円を突破した。

 現在も週に約5億円ペースの興収で、2018年公開の洋画1位「ジュラシック・ワールド/炎の王国」の80・6億円を1月中に抜くことが確実となった。

 配給の20世紀フォックス映画マーケティング本部長・星野有香さんは「もともとの目標は20億円でした。公開週に25億円、30億円は行けるかなと思って、ホッとしましたが、完全なる想定外。『異次元の右肩上がり興行』になりました」と驚きを隠さない。公開3週目の23日に大作「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」が公開され、全国の公開座席数が減っても興収を伸ばした頃から「社会現象になるかも」と取材依頼が相次いでいった。拍手、発声OKの「胸アツ応援上映」や「極上音響上映」などさまざまな上映方式を用意し、リピーターが多いこともヒットにつながった。

 星野さんはSNSなどの口コミで、クイーン・ファン以外に支持層が広がっていったことも大きな要因と考えている。「女性だったり、クイーンをよく知らなかった若い方たちが積極的に『感動した』と発信してくれている。若い人にとってはなんとなく聞いたことがある英語の楽曲でも、曲が生まれたきっかけを、物語性を持って描いているので、感動を共有できたのだと思います」と分析。作品を見た40~50代の“リアル世代”が自分の子どもに勧めたという声も多く届いているという。

 予想外の年またぎロングランとなったことで、星野さんは「年明けもテレビのスポットCMを打つことが決まってます。100億円、いけるかもしれません」と鼻息が荒い。サウンドトラックのCD出荷枚数は約25万枚、配信も含めると約30万枚に達しており、映画以外にも効果が波及している。2019年もしばらく勢いは続きそうだ。

 ◆映画「ボヘミアン・ラプソディ」

 1970年初頭のロンドン。インド系移民出身のフレディ・マーキュリー(ラミ・マレック)は、ボーカルが脱退したブライアン・メイとロジャー・テイラーのバンド「スマイル」に声をかけ、ジョン・ディーコンも加えクイーンとして活動する。ヒット曲によりスターダムにのし上がる一方、フレディは自身のスキャンダルやメンバーとの衝突に苦しんでいく。

 劇中では主にフレディ自身の歌声を使用。数々の名曲が生まれる過程や、20世紀最大のチャリティーコンサート「ライブ・エイド」のパフォーマンスも再現した。

 ◆Queen(クイーン) フレディ・マーキュリー(91年死去、享年45=ボーカル、ピアノ)、ブライアン・メイ(71=ギター)、ジョン・ディーコン(67=ベース)、ロジャー・テイラー(69=ドラム)の4人組ロックバンド。英ロンドンで結成し73年にデビュー。15枚のスタジオ・アルバムを発表し、ライブ盤やシングルを含め総売り上げは2億枚以上。91年のフレディ死去後も活動。2001年にロックの殿堂入り。主なヒット曲に「キラー・クイーン」「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「伝説のチャンピオン」「ドント・ストップ・ミー・ナウ」「バイシクル・レース」など。

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