•  スポーツ報知のWebサイト限定コラムがスタートしました。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

好調テレ東と低迷フジ、2日連続の社長会見で気づいた違いとは?

2017年12月2日14時0分  スポーツ報知
  • ヒット番組連発のテレビ東京(左)と低迷が続くフジテレビ

 テレビ東京が元気だ。11月26日に放送された「緊急SOS!史上最大の池に異常発生!怪物10000匹!?池の水ぜんぶ抜く大作戦5」の平均視聴率が同番組最高の12・8%を記録。同時間帯のライバル・NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」を2放送回連続で上回ってみせた。

 今年4月からレギュラー化された「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」も最新回で9・6%の同番組最高を記録するなど、いわゆる一点突破のワンコンセプト番組でヒットを連発。今年6月に就任した小孫茂社長(66)の月1回の定例会見での「テレ東への追い風を感じています」という発言もおなじみになった。

 一方、同じく6月末に就任したフジテレビ・宮内正喜社長(73)の会見は、失礼ながら明るい材料に乏しい。

 前任の亀山千広・現BSフジ社長(61)時代から続く視聴率低迷による営業成績不振に加え、就任前後にタイミング悪く続出した番組制作上のミスの数々。宮内社長は就任早々、「フジテレビ・リブート(再起動)」をスローガンに「今、我が社は非常事態にある」と危機感を露わに。人事の大幅刷新、3クール先までにらんだ大規模改編に取り組んでいる。

 今のところ、元気いっぱいなテレ東と旗色の悪いフジ。そんな2社の定例社長会見を11月30日、12月1日と2日連続で取材。2社のトップの制作現場への姿勢に、ある違いを感じた。

 11月30日のテレ東社長会見。「池の水―」のヒットの理由を聞かれた小孫社長は「最初は『誰がこんなこと考えたんだ?』と思った企画でした」と切り出し、記者たちの笑いを誘った。さらに「誰もが笑顔になる番組。これからも作る際の丁寧さと『なんで池の水、抜くんだ?』という原点を忘れなければ、人気を保てるのではと思います」とニッコリ。経営トップとしての自身の立ち位置についても「現場の発想を邪魔せず、経営陣は、そのまま(番組として画面に)出していく。それを続けようと思っています」と明かした。

 続けて取材した12月1日の宮内社長の定例会見。フジは11月20日に放送した深夜番組「恋神アプリ」で、21歳未満の飲酒が禁止されているパラオ共和国で出演者の女性(当時20)が飲酒するシーンがあったとし、今後の放送を取りやめると番組公式サイトで発表。謝罪したばかりだった。

 「番組への固定ファンも付き始めていただろうし、見切りが早いな」―。中止の報を聞いて、そう感じたから、そのまま聞いた。

 「失礼な言い方ですが、ミスが続いた件もあり、一つ一つの番組への見切りが早くなっているのではないですか?」―。宮内社長は私の質問に苦笑を浮かべると、こう答えてくれた。「見切りが早くなったのではない。対応が早くなったのです」。

 そう、「対応」という言葉に大きなヒントがある。宮内社長は1967年のフジテレビ入社以来、編成制作局長などを歴任した生粋のテレビマン。制作現場の全てを知り尽くしているゆえに、現場スタッフへの目線も、また厳しいものになる。

 前身の番組から22年続いた看板バラエティー番組「めちゃ×2イケてるッ!」も「一つの番組を終了し、新しい番組を始めて視聴率アップを図ることを編成が決断した」という理由で来年3月での終了を決断した。そこには「とにかく視聴率を上げて業績を回復するのが、私のミッション」という熱い思いがある。

 一方の小孫社長は、テレ東の大株主である日本経済新聞の出身。編集局長も務めた、こちらは生粋の新聞人で、テレビの制作現場には明るくない。だからこそ、「現場の発想を邪魔せず、経営者として、そのまま出して行く」という姿勢が取れる。それも自然に。

 テレビマン社長と新聞記者出身社長。経営トップの出自の違いイコール制作現場への姿勢の違いと単純に割り切ることはできないが、現状、テレ東の若い制作スタッフが経営陣の“放任主義”のもと伸び伸びと番組制作。結果が吉と出ているのは、「池の水―」や「出川の充電―」の人気が証明している。

 それでも、7月期の「月9」枠で放送された「コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命―」が好視聴率を記録するなど、フジテレビの制作陣の持つ実力は折り紙付き。編成統括局長として、編成と番組作り全体の指揮を執るのは「古畑任三郎」(94~06年)、「HERO」(01年)、「やまとなでしこ」(00年)といった同局の名作ドラマを次々と生み出した名プロデューサーだった石原隆氏(57)。ドラマ制作のプロ中のプロが、このまま手をこまねいているはずもない。

 ヒット連発のテレ東と逆境が続くフジだが、今だけを見ていると大きな流れを見失う。取材者に求められているのは、1年後、そして5年後に笑っているのは、どの局なのかを予想する透徹した目線だろう。

 そもそもテレビを巡る新しい動きも次々と起こっている。ジャニーズ事務所から独立した元SMAPの稲垣吾郎(43)、草ナギ剛(43)、香取慎吾(40)がインターネットテレビ局「Abema(アベマ)TV」に出演。11月2日午後9時から72時間連続放送された「稲垣・草ナギ・香取3人でインターネットはじめます『72時間ホンネテレビ』」が累計視聴数7400万を超えるヒットを記録するなど、現在、テレビ界自体が激変しつつあるのだ。

 テレビ局の明日はどっちだ? まだ答えは見えないが、一つだけ確かなのは作り手が本気で作っている番組は面白いということ。今日も各局の“勝負番組”に魅了されている自分が、確かにいる。(記者コラム・中村 健吾)

  • 楽天SocialNewsに投稿!
コラム
今日のスポーツ報知(東京版)
報知ブログ(最新更新分)一覧へ