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「キスするのかと思ったよ」授賞式でベテランカメラマンを戸惑わせた斉藤由貴の魔性

2018年2月10日11時0分  スポーツ報知
  • ブルーリボン賞助演女優賞を受賞し、挨拶する斉藤由貴
  • 8日のブルーリボン賞授賞式中、ユースケ・サンタマリアに顔を近づけて話しかける斉藤由貴(カメラ・関口 俊明)

 妖艶―。男心をくすぐる、なまめかしい女性の美しさを現す言葉。そんな二文字にピッタリの存在が視線の5メートル先にいた。

 8日、東京・内幸町のイイノホールで行われた「第60回(2017年度)ブルーリボン賞」授賞式。東京映画記者会(報知新聞社など在京7紙)が主催する伝統の映画賞に約80人の取材陣が殺到。注目は「三度目の殺人」(是枝裕和監督)で助演女優賞に輝いた斉藤由貴(51)に集まっていた。

 昨年8月、「週刊文春」の報道から始まった横浜市在住の50代開業医男性とのダブル不倫騒動。斉藤は8月3日の会見で「家族がみんなお世話になっているお医者さんです」と男女関係を否定したものの、その後、写真誌にキス写真が流出。結局、「(最初の)会見では本当のことをお話できなかった」と深い関係だったことを認め、文書で謝罪。男性との関係を「終わらせた」と明かした。

 しかし、不倫の代償は大きく、出演が決まっていた今年の大河ドラマ「西郷どん」を降板するなど、多くの仕事を失った。

 そして半年が過ぎた。久々の晴れ舞台となった、この日、「雪の断章―情熱―」で第28回(1985年度)の新人賞に輝いて以来32年ぶりの受賞となった斉藤は、胸元の大きく開いた黒のロングドレスにハイヒールで登壇した。

 周囲を見渡し、深呼吸すると「本当にありがとうございます。32年前、『雪の断章―』で相米慎二監督のもと、初めて長編(映画)に参加させていただいて。その頃、自分がどんな風に賞を頂いたか覚えてなくて。こんなにも年月がたってから、また、もらえるのが夢のような気持ちです。思いがけないプレゼントだと思ってます。選んで下さった記者会に心から感謝します。素晴らしい作品に参加させて下さったことにも感謝します」と、丁寧に頭を下げた。

 司会の大竹しのぶ(60)から「去年はいろいろ大変なこともあったけど」と突っ込まれ、「えっ、もう、そこでいいですか。お恥ずかしい…」と声を裏返らせる場面もあった。

 会場には母・淳(あつ)さんが駆けつけ、客席後方で見守っていた。「お母さん、ごめんね。来てくれてありがとう」―。そう客席に向かって、呼びかけた時、その声は確かに震えていた。

 感動の一幕。その言葉、表情、仕草、全てがトップ女優らしいものだった。しかし、ここから、あえて舞台裏での話をさせてもらう。

 「いやあ、キスするかと思ったよ」―。感動の式の後、ともに取材した先輩カメラマンが興奮気味に送信直後の写真を見せてくれた。

 パソコン画面に映し出されたのは、壇上に用意された受賞者席で隣に座った助演男優賞のユースケ・サンタマリア(46)に向かって、まさに頬が触れ合わんばかりの近さで話しかける斉藤をとらえた1枚。「(距離が)近っ!」―。私も思わず声を出してしまった。

 そう、この独特の距離感こそ、斉藤の持ち味であり、そばにいる男性を勘違いさせてしまう部分なのではないか。それは決して計算などではなく…。そんな姿を目にして、頭に浮かんだのが「無意識過剰」という言葉。99年、文芸評論家の故・江藤淳氏が石原慎太郎氏を評した言葉として有名になったが「無意識のうちに行動してしまい、周りの人を振り回す」―。私は、そんな意味にとっている。

 斉藤の奔放に見える行動にも「無意識過剰」という言葉が当てはまるのではないか。ユースケとの“超接近写真”を見た時、そんな考えが頭に浮かんだ。

 昨年8月3日の不倫釈明会見も取材したが、その時の斉藤も場にそぐわない胸元の大きく開いた純白のロングワンピースで現れた。

 当時、撮影中だったドラマのロケ現場から会見場に駆けつけたため、着替える時間がなかったという説明だったが、一緒に取材したベテランカメラマンは「あの服が気になったんだよね。釈明会見とは思えないワンピースに胸元もかなり開けていただろ。あの見た目はちょっと違うんじゃないか。スタイリストは何してたんだろ」と指摘した。

 その時も斉藤は「昨日、今日とロケが続いて家にも帰っていません。着たきりすずめです」と吐露。私服に近い服装に後ろでまとめた髪も本人いわく「ぼさぼさで恥ずかしい」状態。トップ女優とは思えない“無防備な”外見で、約140人の取材陣の前に25分間立ち続けたものだった。

 そもそも、故・尾崎豊さんや川崎麻世との不倫騒動で「魔性の女」と呼ばれたこともあった斉藤。無意識にしろ、男性の目線を集めてしまう、その無防備な姿―。半年前の取材時の思い出が、この日の「キスしそうに見える写真」で、くっきりとよみがえった。

 誰もが認める、その女優としての才能。今回の受賞作「三度目の殺人」の是枝監督は「本質を直接言わずに表現してくれる芝居をする」と称え、人気演出家・三谷幸喜氏も「コメディエンヌの天才」と、斉藤を激賞している。

 誰をも魅了する女優としてのセンスと無意識に男性をとりこにしてしまう一人の無防備な女性としての魅力―。斉藤由貴は「最強」にして、唯一無二の女優なのかも知れないな。ふと、そんなことを思った。(記者コラム・中村 健吾)

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