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釣りの世界にもアイドル 広島大卒&教員免許所持の晴山由梨の腕前は上級者並み

2018年5月22日16時0分  スポーツ報知
  • ダントツの釣りの腕前を誇る晴山由梨
  • 2018年の「アングラーズアイドル」グランプリに輝いた廣瀬麻伊

 今やアイドルは多種多彩。現在は王道のAKBグループやももいろクローバーZはもちろん、グラビアアイドル、ご当地アイドル、地下アイドルなど、全国に何組いるのだろう。

 記者が担当する釣りの世界にもアイドルは存在する。2010年から選ばれている「アングラーズアイドル」がそれだ。釣り具メーカーなどで作る日本釣用品工業会(日釣工)が、毎年1月に開催する釣り具の見本市、ジャパンフィッシングショーでオーディションを行い、グランプリを選出している。

 これまで初代の本間愛花から、今年グランプリに輝いた廣瀬麻伊まで9人のアイドルが生まれた。その経歴は様々。歌手や女優、モデルの芸能界経験者はもちろん、美容師やOLといった素人もいる。今年は選ばれた廣瀬は元人気モデル。ファッション雑誌ポップティーンやジェリーなどで活躍していた。

 アイドル誕生の背景は、釣り業界の落ち込みにある。90年代の釣り人口は2000万人を超えていたが、2016年には約690万人と、3分の1近くに減少している(日本生産性本部調べ)。原因はレジャーの多様化に加え、アメリカ同時多発テロの影響もあった。テロをきっかけに国際条約が改定。日本も「国際船舶 港湾保安法」により全国100か所以上の港などに立ち入りが禁止になった。家族や初心者が手軽に釣りをできる場所がなくなったのだ。

 現在、釣り人口の中心は40代以上の男性だ。そこで少しでも釣りに対して興味、関心を持ってもらおうと、アイドルを選出しているのだ。アイドルが釣りの楽しさの象徴になり、新しい釣りのファンの開拓、釣り業界のイメージアップを目指している。

 彼女たちはAKBのように握手会はしない。ももクロのように歌も歌わない。勝負の場は船の上や水辺だ。船に乗ったり、川に立ち込んだりして竿を振る。竿を持って笑顔でいれば済む仕事も多少はあるが、彼女たちの仕事のほとんどは魚を釣らなければならない。船がどんなに揺れようとも、雨が激しく打ち付けようとも、魚を釣って笑顔で写真に収まらなければならないのだ。

 当然、釣りの腕前が伴わないと仕事にならない。その意味では、4代目の晴山由梨がダントツに釣りがうまい。広島大学を卒業して教員免許を持つ才女なのだが、釣りの腕前は上級者並み。しかし、彼女のふんわりとした雰囲気がそう感じさせるのか、船に乗ると周りの男性は、まず「本当に釣りするの?」と疑う。そして魚を釣ると「なかなか上手だね」と感心され、たいがいの場合、周りの釣り人よりたくさんの魚を釣って「すごいね」と驚かれる。今やその腕前が評価され、大手釣り具メーカーの外部モニターも委託されている。

 船に乗れば船酔いもする時もある。雨が降れば化粧も落ちる。晴れた日には日焼けもする。釣りは女性にとって、決して恵まれた環境での仕事ではない。しかし、晴山は「釣りの仕事は、いろいろなことを気にしていてはできません」と言う。

 彼女の目標は自分の冠番組を持ったり、テレビに出まくったりすることではない。「釣りを広めたいんです。たくさんの子どもたちに釣りを教えていきたい」。釣りの伝道師になるべく、彼女は今日もどこかで魚を釣っている。(記者コラム・高田 典孝)

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