元WWF王者ボブ・バックランド、故ブルーノ・サンマルチノ氏との最後の会話を明かす…「君は本当の弟以上の弟だ」

スポーツ報知
サンマルチノ氏への追悼10カウントゴングを捧げたバックランド(左)と藤波

◆ドラディション「バック・トゥー・ザ・ニューヨーク・ツアー」(20日、後楽園ホール)

 藤波辰爾(64)が主宰する「ドラディション」に参戦している元WWF世界ヘビー級王者のボブ・バックランド(68)が20日、18日に82歳で亡くなった元WWWF世界ヘビー級王者ブルーノ・サンマルチノ氏への思いを明かした。

 「人間発電所」の異名で知られたつサンマルチノ氏は怪力を生かしたベアハッグを武器に1963年にWWWFヘビー級王座を獲得。以後、71年1月までベルトを守り続け、ニューヨークのMSG(マジソン・スクエア・ガーデン)を拠点とするWWWF(後のWWF。現WWE)のトップとして「MSGの帝王」とうたわれた。

 バックランドは、76年からWWWFに参戦。78年2月にスーパースター・ビリー・グラハムを破り、サンマルチノ氏が獲得していたヘビー級王座を奪取し「ニューヨークの帝王」と呼ばれた。偉大な先陣の訃報に「プロレス界で最も偉大なレスラーを失ったことは間違いなく、最高のレスラーを失ったことは悲しくて仕方がありません。しかもこの訃報を日本で接し驚いています」と声を落とした。

 サンマルチノ氏との思い出を「リング内は素晴らしかったが、リング外のブルーノはもっと素晴らしかった」と評し「ボクがWWWに参戦して最初に会った時にお互い知らなかった。当時は、グラハムがチャンピオンで彼はテレビの解説をしていた。それから、毎回のように会場で会って、友情を温めたのが一番の思い出です」と振り返った。

 プロレスラーとしては「彼は怪力型のレスラー。ボクは純粋なレスリングから入った。全く違う方向からプロレスに入ったがそれが融合したことはうれしかった」と明かし、「ブルーノは生涯10回、大きな手術をしてそれを犠牲にしてチャンピオンを務めたが、幸いボクは1回も手術をしていないので、いいなぁお前はと笑われたことを思い出します」と懐かしそうに目を細めた。

 最後に会ったのは、共にWWEの殿堂入りを果たした2013年の表彰式だったという。「2013年に彼と共に殿堂に選ばれたことは彼も喜んでくれたし、ボクも光栄だった。その時に一緒の場面で殿堂入りの表彰式に出席したことは本当に楽しい思い出です」と振り返った。また、最後の会話も明かし「3年前にボクは自伝を書いたんですが、それを彼のピッツバーグの自宅に送った時に彼がボクのコネチカットの自宅に電話をくれて、“本当に読んだよ。素晴らしい。今は君を弟以上の弟と感じている”と言ってくれました。その言葉が本当に嬉しくて…。それが最後の会話になりました」と話した。

 この日のドラディションでは全試合終了後にサンマルチノ氏へ追悼の10カウントゴングを鳴らした。82歳で亡くなった偉大な先人へ「82歳はレスラーとして長寿だと思う。たいていのレスラーは、5年から10年病院に縛られて入院して亡くなっているケースが多い。そういう意味では、朝起きて亡くなっていたというのはある意味、ブルーノのためには良かった。自然死という形で亡くなったのは良かったと思います」と偲んでいた。

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