K-1ヘビー級戦士・上原誠が“引退撤回”「ご飯を食べても味がしないんですよ」

スポーツ報知
上原誠、K-1愛を持ってリングに立つ!(C)M-1 Sports Media

 6月17日にさいたまスーパーアリーナ(コミュニティアリーナ)で開催される「K-1 WORLD GP 2018 JAPAN~2代フェザー級王座決定トーナメント~」で、再起戦を行うヘビー級の上原誠(33)=士魂村上塾=が、心境を語った。

 上原は昨年、11月23日に同会場で行われた「初代ヘビー級王座決定トーナメント」で日本人唯一の4強に入ったが、準決勝で、優勝したアントニオ・ブラチバット(クロアチア)にKO負けし、引退をほのめかしていた。再起戦では、スーパーファイトとしてK-1ヘビー級(-90キロ契約、3分3回戦・延長1回)で加藤久輝(ALIVE)と対戦する。

 ─昨年11月の初代ヘビー級王座決定トーナメント直後、インタビュースペースで「今後はもしかしたら、ないかも知れません」というコメントがありました。あの時の心境を聞かせてもらえますか?

 「僕はあの日凄く調子が良くて、1回戦もノーダメージで勝ち上がりました。それで準決勝はどういう感じになるのか?と思って戦って。相手(アントニオ・プラチバット)はもちろん強いと分かっていたんですけど、実際に戦って1RでKO負けして『こんなにも差があるのか…』と、終わった後に自分自身にショックを感じました。それで自然にパッと『今後はないかもしれない』という言葉が出ちゃったのかなと。実際、あの日のことはあんまり覚えてないんですよ、パッカーンってヒザをもらってKO負けしたことしか(苦笑)」

 ─そこから結果的に試合を休むことになりました。また試合をやろうという気持ちになってきたのは、何かきっかけとかあったんですか?

 「僕の中で綺麗な辞め方をする格闘技の選手はあんまりいないなと思っていて、K-1というプロモーション自体を、もっとより良く価値を上げるためには、そういうところもしっかりやらないと駄目だなと思いました。何となく誰も知らないうちに辞めるのではなく、何かしら結果を出したり、ちゃんとケジメをつけて身を引く。K-1ファイターはそうでなければいけないと思ったら、気持ちが自然にもう一度リングに上がるという方向に向かっていましたね」

 ─その気持ちはトーナメント前とはまた違ったモチベーションだと思うのですが、今はどんな心境で練習されているのですか?

 「何だろうな…本当に11月の試合が終わってから、3カ月ぐらいずっと練習してなかったんです。そしたら、これは本当の話なんですけど、ご飯を食べても味がしないんですよ。運動をやめてから味が分からなくなったんです。今まですごく美味く感じていた食べ物の味をすごく薄く感じたり、好きなコーヒーもただ水を飲んでるみたいで……。それが運動を再開したら、また味覚が戻ってきたんですよね。そういう経験をして俺はまだ戦わなくちゃ駄目なんだろうなと思いましたね」

 ─そして今大会では総合格闘家の加藤久輝選手と対戦が決まりました。最初に加藤選手の名前を聞いた時はどう思いましたか? 

 「総合の選手なんですけど、いつか戦いたいと思っていた選手だったんで、すぐに『やります!』みたいな感じでしたね。僕はヘビー級なんで総合の選手と練習することも多くて、よく『あの選手のパンチは上手いよね』や『あの選手のディフェンスは上手い』という話をするんですよ。その時に必ず加藤選手の名前が挙がっていたので、加藤選手の存在はずっと頭の中にありました」

 ─実際に試合映像を見たこともあったのですか?

 「何回か見たことはありましたね。最初は一発一発を丁寧に殴ってくる印象だったんですけど、試合が決まって映像を見てみたら、けっこうブンブン(パンチを)振り回して来るんだなと思いました。あっちがブンブン来るなら、こっちもブンブン振り回そうかなって思いますね。だから倒れると思いますよ、あっちが」

 ─改めてこれからの上原選手の目標を聞かせてもらえますか?

 「今まで僕はヘビー級で試合をしてきて、どこかで言い訳していた自分がいたんですよ。試合前は『体重差なんて関係ねえ!』と思っているのに、いざ試合に負けると『相手の方がデカいじゃん』って(苦笑)。でも今回は90kg契約の試合で、この階級は自分自身に言い訳ができない舞台です。もしこの階級が新設されるなら勝ち続けられる自信もあるし、逆に言うとここで勝てなかったら…という考えもあります。だからここからは一つ一つの試合が大勝負ですね」

 ―ちなみに上原選手は試合を休んでいる間にYouTuberとしての活動もスタートしていますが、何か理由があるのですか?

 「僕自身、K-1で試合させてもらうようになって、メディアに出る期間・出ない期間があるじゃないですか。その中で試合をしていない時期にも、色々と何か発信できたら良いなと思ったのが一つの理由ですね。あと僕はすごくオラオラしている印象が強いみたいで、実はそうじゃなくて楽しいキャラなんだよというのを知ってもらいたいというのもありますね。やっぱり僕はK-1にお世話になりっぱなしで、自分で情報を発信したり、自分の普段のキャラクターを知ってもらったりすることで、よりK-1というものをアピール出来ると思っています」

 ─そうした話を聞いていると、上原選手のK-1愛を感じます。

 「本当に僕はK-1を愛してます。僕はK-1が好きでここまで頑張ってきたんで、やっぱりK-1愛はありますね。これからも愛されるより愛したいです(笑)」

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