【長州力インタビュー〈1〉】「お前はプロレス辞めろ」…伊橋剛太へ放った発言の真相

スポーツ報知
伊橋(手前)に蹴りを入れる長州(後ろ。右は藤波)

 プロレスラー、長州力(66)が7月10日に後楽園ホールでプロデュース興行第2弾「POWER HALL2018~Battle of another dimension~」を開催する。メインイベントで専大レスリング部の後輩で全日本プロレスの秋山準(48)と待望の初対決が実現する。決戦を控えこのほど、スポーツ報知のインタビューに応じ、秋山、全日本など様々な思いを明かした。「WEB報知」では「長州力インタビュー」を連載。第1回は、前回1月のプロデュース興行で発したあの発言の真相。(取材・構成=福留 崇広)

 1月14日。後楽園ホール。長州力は、プロデュース興行「POWER HALL」の試合後に突如、言い放った。

 「お前はダメだな。プロレス辞めた方がいい。お前のせいじゃないだろうけど必要とはしない。頑張っているのは分かるけど違うものはある」。通告した矛先はDDTの伊橋剛太(34)。メインで飯伏幸太(36)、伊橋とトリオを結成。しかし、客席から失笑が漏れる不甲斐ない伊橋のファイトにブチ切れたのだ。

 あれから5か月。第2弾のプロデュース興行を前にあの発言の真意をこう明かした。

 「あのまんまですよ。あのまんま。別に過激なことを言ったつもりもないし。あん時の彼はダメですよね。頑張っている、頑張っていないっていうもっと前の問題ですよね。以前の問題ですよね」。

 この発言は、長州が貫いてきたプロレスへの確固とした姿勢が改めて鮮明に現れる形となり、「長州力、ここにあり」との業界内外で称賛が起こった。一方で伊橋のDDTでの戦いから明らかにスタイルが違う革命戦士とのタッグに試合前から不安の声があったことも事実。そのため自身のプロデュース興行だけに、なぜ、パートナーに抜てきしたのかなどネット上では疑問の声も噴出した。

 参戦に至った経緯を振り返った。

 「たぶん、でも、あの1回目の後楽園に持っていくまでに本人を見てないからね。本人と会えなかったっていうか、何回か記者会見をやった中でも本人が来てないし。ボクもそういう部分で携わってやっていたから、だいたいあとは、あぁ大丈夫だ、大丈夫だって名前とこう合わしていくんだけど、こいつだけは見てないんですよ。してやられたなっていう感じですよ」

 自身のプロデュース興行だったが伊橋の情報だけは把握していなかったことを明かした。

 マッチメイクは自身が担当したが、実務面では興行を主催するエス・ピー広告社の執行役員で元新日本プロレスの武田有弘氏に全幅の信頼を置き任せていた。

 「そういう部分あったんですけど。なんか会わせたくなかったみたいですね。だから、してやられたなっていう」

 加えて伊橋を推薦した飯伏からの言葉もあった。

 「飯伏とも2回ぐらい会って、飯も食ったんだけど大丈夫ですって。武田君も大丈夫ですって。何を持って大丈夫と言ったのか。だから、あっ、これはしてやられたなという部分は多いし」

 飯伏、さらに周囲の言葉を信じてパートナーに抜てきしたという。長州は、前回の大会前に出場するレスラーについて「ボクはプロレスラーという言葉は嫌いなんですよ。ここにいるのは、すべてプロのレスラーだと思っています」とプロ意識の高い選手が集結したことを自負していた。しかし、結果として伊橋は「プロのレスラー」という長州が持つ価値観から大きく逸脱していた。その結果、試合後の最後通告発言につながった。

 7月10日のプロデュース興行第2弾。長州はメインイベントで大日本プロレスの関本大介(37)、ヨシタツ(30)=フリー=と組み、全日本プロレスの秋山準(48)、大日本プロレスの橋本大地(26)、WRESTLE―1の黒潮“イケメン”二郎(25)と対戦する。すでに全6試合のカードは発表になっているが、伊橋については「二度と触りたくない」と長州が拒否し、参戦は見送られた。

 しかし、この状況に革命戦士の永遠のライバルの藤波辰爾(64)は「あれだけのことを言って波紋を呼んだわけだから、今回の試合に彼を呼ぶべきだと思う。長州としてはタッグを組んだり、対戦するのが嫌な気持ちがあるのなら、第0試合とか、どんな形でもいいから長州の目の前で試合をさせるべきだと思う」と提言した。

 こうした周囲の声を受け伊橋が7・10後楽園に出場する余地が出てきたのだろうか。

 「それを周りが突っついてそうやって言ってくるんだよね。余地があるって言ったって。オレは多分、伊橋に本人に辞めろって言ったって。本人のあれですからね。オレが“辞めろ”って言って、“はい辞めます”っていう。オレにその権限はない。でも、触りたくないですよね」。

 そして、こう言った。

 「自分だけのパワーホールでもないし。その辺を考えて…。触るのか触らないのか…どうなるかですよね」

(続く)

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