【巨人】由伸監督が語った“初夢オーダー”案 先発確約は坂本、マギー、ゲレーロのみ

スポーツ報知
今季の新しいスローガン「奮輝」を披露する高橋監督(カメラ・中島 傑)

 巨人・高橋由伸監督(42)が、スポーツ報知の新春インタビューに応じた。早くも開幕オーダーについて触れ、吉川尚のレギュラー構想や、ゲレーロの4番固定、阿部、長野の定位置剥奪までも示唆。「先発の顔触れ? 大いに変わる可能性はある」と“夢オーダー”を語り尽くした。小林VS宇佐見の捕手争いは? マギーはどう使う? チームの顔は誰? 正月から話題満載でお届けします。(取材・構成=水井 基博、宮脇 央介)

 勝負の年が幕を開けた。由伸監督はスーツで身を正し、本紙のインタビューに臨んだ。

 「早速ですが…」。記者は懐から数枚の紙を取り出した。気が早いよ! こう言われるのを承知で指揮官の前に並べた。こちらが独自で選んだ開幕予想オーダーだ。

 「お前ら、本当にこういうの好きだな。まだ何も決まらないだろ」と笑いつつも、一通り目を通した。

 「ん? へぇ…。まあ、面白いのもあるな。どれとは言わないけど(笑い)。一つだけ言えることは、現時点で開幕スタメンに入るのは坂本とマギー、ゲレーロの3人だけだよ」

 予想通りにかわされながらも「ヒントを下さい」と、食らいついた。

 こちらが、どのオーダー表にも入れたのが「二塁・吉川尚」。ポテンシャルの高さを買っての抜てきだ。

 「能力、持っているものは楽しみ。何とかそれを出してほしいし、こっちも生かしたい。秋季キャンプの練習試合で、ファウルだったけど右翼の場外まで飛ばした。フリー打撃の打球も飛んでいた。正直、秋季キャンプはついてこられないと、途中でへばるものと思っていたんだけどね」

 昨秋から評価は上がりっぱなしだ。昨年10月3日、ヤクルトとのシーズン最終戦(神宮)では「2番・二塁」で先発し、4打数3安打。1軍の主力選手らが「尚輝はやるよ」と認め、指揮官も「かなり楽しみになった」と見直した。

 「長年埋まらない中で、吉川はレギュラーに一番近い選手だと思う。筆頭候補だよ。バッティングが1軍のレベルについてこられるかの課題はあるが、華麗な動きは見栄えがする。1、2番に入れば、足もあるからいいんだけど、打席も多く回ってくるから足だけで使うわけにはいかない。でも、任せられるくらい打ってくれたら、チームは変わるよ」

 吉川尚には天性の守備力と脚力があり、バントはチーム随一だから「2番・セカンド」が有力。では1番は。本紙では陽岱鋼、長野に重信、坂本勇を推す。

 「もちろん、坂本はあり。でも、1番・坂本の前は8、9番でしょ? チャンスで回る確率が低くなる」

 ということは、やはり勇人の3番は固い。本人も「もっとホームランを打ちたい」と長打力を求めているだけに、クリーンアップが一番似合う。ここは経験豊富な長野が適任か―。だが、最近は本来の姿にない長野を由伸監督はスタメンから外す可能性も示唆した。

 「もう、今までと同じとは思っていない。昨年は1か月くらいの期間しか打ってない。今年は坂本とは別の立ち位置だと思っている」

 軸となる4番は、新外国人のゲレーロで決まり。中日に在籍していた昨年は、打率2割7分9厘、35発、86打点で本塁打王を獲得。一発で流れを変えられる存在は指揮官待望の選手だった。ゲレーロが勝負どころで敬遠されないためにも大事になるのは5番だ。

 「マギーをどう使うかによるね。5番は理想かもしれないが、他の選手との兼ね合いになる。1、2番があまりにしっかりしなければ『2番・マギー』もある。初回以外は何番目に回ってくるか分からないし、一つずつ繰り上げても構わない。万能な選手だから、どこにでも置ける。昨年は起爆剤になったし、勢いが出た」

 たとえ、2番にマギーが繰り上がっても、5番候補には阿部もいる。

 「本人はまだ負けていないという気持ちは強いだろうし、力で負けない限りは試合には出すよ。ただ、チームに何を必要とされているか。自分のことも大事だが、何を求められているかを考える時期にはある」

 現状、阿部の定位置である一塁候補にはマギーと岡本もいる。まずは、マギーと岡本で三塁を争い、その中で岡本が打撃面で成果を出せば、マギーをファーストに回すプランもある。昨オフ、村田が退団。チームを変えるための大胆な編成で、阿部も例外ではない。岡本が頭角を現せば、阿部を開幕スタメンから外し、代打待機の策もある。

 「今までの実績が消えるわけじゃないし、否定するつもりもないが、今年は阿部も長野も、今までほどアドバンテージは大きくない」

 何となく、1~5番までのイメージが湧いてきた。1、2番で若手を競争させて、マギーを“保険”で置く。「4番・ゲレーロ」を獲得したからこそできる策であり、若手を育成するための重要な補強だった。

 「ナゴヤDでホームラン王になっている。巨人に来て、本拠地が東京Dに変われば、怖さは増すと思う。長打、ホームランを打たれるかもしれないというのは相手が一番怖いこと。ここ数年の足りない部分の一つだった。長距離砲が入ってくれば、中心の3~5番がきっちり固まる。すると、オーダーも変わってくる」

 扇の要はどうか―。実松、相川らベテラン捕手が去った今、小林と宇佐見にかかる比重は大きい。守りの小林に、打の宇佐見。ここはどう見ているのだろうか。

 「競争をさせるよ。宇佐見はバッティングでは小林を上回っている。チームが打ちあぐねていたピッチャーを、途中に出てポーンと打ってくれるし、何か持っているのかもしれない。ただ、守りでは小林。あの肩は誰にもマネできない。平均してどっちが上回るか。実松、相川がいなくなって、安心感という部分で怖さはある。2人には、より自覚が出てきてほしい」

 約40分のインタビューだった。一番に感じたことは、スタメンの顔ぶれがだいぶ変わるのでは? ということ。手前に並ぶオーダー表を手に取った。指揮官は「大いに変わる可能性はある」とうなずいた。1番に重信がはまれば、陽を下位打線における。足があるから起点にもなれるし、岡本には7番打者として気楽に打たせることもできる。バリエーションは豊富だ。

 「吉川尚が出るのか、岡本、重信なのか、小林か宇佐見なのか。いっぱい名前は出るけどみんな未知数の選手。ただ伸びる要素は持っている。自分たちでつかみとってほしい。そうじゃないとチームは強くなっていかない。若い選手が育っていくためには、坂本や菅野のチームの顔が引っ張ることが大切になる」

 3年契約の最終年。進退のかかるシーズンだ。長い野球生活の中で、由伸監督には経験のない“契約最終年”。最後に質問した。思うところはあるか―。

 「1年目も今年もそこに関するものは全くない。それは周りが言っていること。ただ単に、そうだったとしてもオレ個人の区切りであって、チームの区切りではない。仮に来年、俺がいなくなったとしても、いなくなるのは俺だけであって、選手は残ってチームは続く。ジャイアンツはあり続けるわけだから」

 巻き返す自信はある。昨秋の宮崎キャンプでは1日1500スイングを敢行。「目の色が変わってきた」と実感した。菅野という絶対的なエースがいて、頼りになる4番も加わった。スター候補生も芽を出しつつある。正月から未来が明るくなる内容だった。

 ◆チームスローガン「奮輝 ~GIANTS PRIDE 2018~」

 巨人は2018年チームスローガンが「奮輝 ~GIANTS PRIDE 2018~」に決まったと発表。就任3年目を迎えた高橋由伸監督は「気持ちを奮い立たせ、勇気を持って戦い抜いた先に、我が巨人軍が光り輝く栄光が待っています。6年ぶりの日本一奪回に向け、チームが一丸となって奮起します」とコメントした。

 由伸監督就任後のチームスローガンは、16年が「一新 ~GIANTS PRIDE 2016~」、17年が「新化 ~GIANTS PRIDE 2017~」。

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