【侍ジャパン】稲葉監督、東京五輪は主将坂本&エース菅野「2人とも脂の乗ってる時期」

スポーツ報知
インタビューで今後の抱負を語った侍ジャパン・稲葉監督(カメラ・関口 俊明)

 侍ジャパンの稲葉篤紀監督(45)がスポーツ報知のインタビューに応じ、2020年東京五輪の主将に巨人の坂本勇人内野手(29)を、エースに菅野智之投手(28)をそれぞれ“指名”した。金メダル獲得が至上命令となっている2年後の祭典で「2人とも脂の乗ってる時期。当然、いてほしい」と投打の柱として期待。18年は監督としてもさらに研さんを重ねていくことを新春の誓いとした。(聞き手・西村 茂展)

 ―3月のWBCを経て、侍ジャパンの監督に就任。17年を振り返って。

 「いろいろ勉強させていただくチャンスをいただいた。私自身も小久保監督の下で3年間、コーチとして経験させていただき、7月に代表監督をということで。この3年間というのが僕の中でベースになっている。小久保監督には非常に感謝しています」

 ―小久保前監督の下で、一番大事だと感じたことは。

 「やはりコミュニケーション。小久保監督もよく選手と話をしてましたし、選手の考え方だったり特徴というものをしっかりと把握しなきゃいけない」

 ―3月には初めてフル代表での壮行試合・豪州戦が行われる。

 「自分のノートにはポジション別でズラーッと名前を挙げている。投手、野手を含めて40、50人くらいいるのかな。選びたい人がたくさんいるので、いい悩み」

 ―選ぶ基準は。

 「一番は『熱』ですよ。熱い気持ちを持っているかというところは一番大事にしたい。あとはつながりも含めたバランスを見て。4番打者ばかり集めてもダメだし、コーチと話し合いながら、ポジション、打順を想定しながら選んでいく」

 ―その中でも中心として考える選手はいるか。

 「3年間見据えて、この選手が軸になってほしいという選手が何人かいる。正直、賭けなんですけど、その場その場ではなく、軸はドンといることが大事。まだ誰とは言えないが、ジャパンを経験している選手であるのは間違いない」

 ―巨人では坂本、菅野らは侍の経験が豊富だ。

 「一緒に代表のユニホームを着てWBCを戦った仲間として、これからの期待は非常に大きく持っている。彼らも2年後にはいい年齢になって、本当に脂の乗ってる時期になっていると思う。当然、いてほしい」

 ―東京五輪では、坂本には年齢的にも主将のような役割が期待される。

 「今、遊撃に若い選手がどんどん出てきている。源田、京田、茂木…今宮もいるし、広島の田中も非常に好きな選手。その中で、彼は一番経験をしている。WBCを見ても、投手に声をかけにいくタイミングとかね。遊撃は守備の中心。若いから、動けるからいいとかではない。(主将という)そういう存在になってほしいし、チームを引っ張っていくという気持ちでやっていってもらいたい」

 ―菅野については。

 「もう言うことないでしょう。当然、日本のエースは…といったら誰もが菅野だと言うと思う。その投手を外すのは考えにくい。東京五輪の時、菅野投手はまだ30でしょ。当然、その時でも日本のエースでしょう」

 ―2人とも、所属する巨人では若手を厳しく叱咤(しった)する姿も出てきた。

 「坂本は若い時から知っているし、コーチ時代からいろんなことを話し合ってやってきた。非常に成長したなって頼もしく思う」

 ―注目を集める清宮も代表入りに期待がかかる。

 「プロのスピードにどれだけ早く慣れていけるか。あと、彼は本塁打を期待されていますけど、僕の見た感じだとミートがうまくて安打が多い打者かなと。ファイターズに入って、札幌Dはなかなか本塁打が出にくい球場ではあるので、そこで彼の打撃がどうなっていくかは見ていきたい」

 ―野球人としても注目する存在か。

 「彼のインタビューの中で『北海道から世界へ』と、色紙にも書いていたけれど、ルーキーがそんな大きなことを言うのは何か持ってると思う。それはビッグマウスとかではなく、彼自身が本当に思ってること。一野球人として期待したい」

 ―エンゼルスの大谷については。

 「本当に野球が好きで、もう365日野球のことしか考えてない選手。実は3月の開幕前に自宅に呼んで食事をしたり、個人的にかわいがってた部分があった。世界で二刀流をやっている姿を楽しみにしたい」

 ―メジャー移籍で、大谷の侍入りは障害も増える。

 「もちろんできれば代表に入ってもらいたい。それはダルビッシュもマー君も前田も、イチローにもね。真のトップチームをつくっていきたい。理想として持っている」

 ―確かにイチローは、若手が見習う点が多い。

 「彼は野球界の模範。あの年(44歳)になって一番練習しているし、野球の考え方は若い選手の参考になる。これはかなわなかったけど、(昨年11月の)アジアチャンピオンシップの時に来てもらって、声をかけてもらいたいという願いはあった。影響力のある特別な存在。いずれ代表に、仮にユニホームを着なくてもちょっと顔を出してもらって―という夢を描きながらやっていけたら」

 ―最後に18年の抱負を。

 「ホップ・ステップ・ジャンプという言葉がありますけど、いろんなことに挑戦していくのが今年。時間の許す限り球場に行っていろんな選手を見ようと思うし、監督さん、いろんな方から話を聞いて勉強したい」

 ◆稲葉監督の初陣VTR 17年11月の「ENEOS アジアプロ野球チャンピオンシップ」で監督として初采配。24歳以下か入団2年目の選手に、オーバーエージ枠3人を含めた代表で戦った。初戦の韓国戦では1点ビハインドの9回に追いつき、タイブレーク制の延長10回に3点を勝ち越されたが、その裏に上林の同点3ランと田村のサヨナラ打で4時間29分の熱戦を制した。続く台湾戦では今永が6回12Kの快投を見せ、8―2で快勝。決勝の韓国戦でも田口の好投に打線が応え、7―0の圧勝。初采配の大会を優勝で飾った。

 ◆稲葉 篤紀(いなば・あつのり)1972年8月3日、愛知・師勝町(現北名古屋市)生まれ。45歳。中京(現中京大中京)高、法大を経て、94年ドラフト3位でヤクルト入団。05年にFAで日本ハム移籍。07年に首位打者と最多安打。ベストナイン5回、ゴールデン・グラブ賞5回。98年北京五輪、09、13年WBC日本代表。13~17年侍ジャパン打撃コーチ。17年7月より侍ジャパン監督就任。通算2213試合、2167安打、261本塁打、1050打点。186センチ、85キロ。左投左打。

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