【巨人】阿部、坂本も菅野も「ガツガツ言って嫌われろ」“鬼主将道”を伝承

スポーツ報知
ボールを真上に打ち上げる阿部

 【米グアム20日=ペン・後藤亮太、カメラ・中島傑】巨人の阿部慎之助内野手(38)が、主将4年目を迎える坂本勇人内野手(29)、エース・菅野智之投手(28)と2月の春季キャンプ中にも3者による“主将サミット”を開催するプランを明かした。このオフ、後輩を引き連れて自主トレを行う投打のリーダーに対し「(2人が)中心なんだから、誰に何を言われようと、嫌われる覚悟でガツガツ言わないといけない」と宣言。14年まで主将として厳しくチームを先導した男が、“鬼主将道”を伝承する。

 強い日差しが降り注ぐグアムの地で、阿部の言葉は熱を帯びた。昨年末から行ってきた単独自主トレも最終クール3日目が終了し、いよいよキャンプインまで残り2週間を切った。4年ぶりのリーグ優勝を目指す戦いのスタートを前に、阿部は投打のリーダーに対しての思いを打ち明けた。「(坂本)勇人と(菅野)智之が一目を置かれて、後輩たちがピリッとする。そういう存在になってほしい」と語った。

 このオフ、今季で主将4年目を迎える坂本勇は「今は自分が若い時に比べてピリッとした雰囲気が少なくなっている。そういう厳しさを出していかないといけない」と、“鬼主将”になることを宣言。さらに昨季、最多勝、最優秀防御率、沢村賞を受賞したエース・菅野も、後輩投手を引き連れて12月中旬から行ったハワイ自主トレでは厳しい言葉を投げかけて奮起を促すなど、2人の変化を阿部は感じ取っていた。

 一方で勇人は14年まで絶対的な主将としてチームを支えてきた阿部にはLINE(無料通信アプリ)で悩める胸中も明かしていた。昨オフ、村田が退団し、実松、相川らベテラン捕手もチームを去った。チームが若返った現状も踏まえ、「阿部さんがいなくなったらやばいです。僕と智之ではピリッとしないです」と助けを求めていた。

 だからこそ、チーム最年長としてバックアップをしていく。阿部は2人に対し、チームを先頭で引っ張る上で「(2人が)中心なんだから、誰に何を言われようと、嫌われる覚悟でガツガツ言わないといけない。若い選手に伝えていくことが仕事でもある。言うということで自分にも責任が生まれる」と助言。さらに「そういう話はしようと思う」と春季キャンプ中にも「三者会談」を行い、主将として厳しい行動や言動で鼓舞してきた自らの“鬼主将道”を伝承するつもり。2008年の春季キャンプでは、高橋由(現監督)と二岡(現打撃コーチ)が宮崎市内で選手会長の“引き継ぎ式”を行って、チームの将来について語り合った。巨人の良き風習が引き継がれることになる。

 この日もロングティーや正面からのトス打撃などでバットを振り込み、その後はウェートトレーニングも行った。「1年でも長く必要とされる選手でありたい」と話す背番号10の存在が、王座奪還を目指すチームには欠かせない。(後藤 亮太)

 ◆阿部の“鬼主将”列伝
 ▽11年8月 遠征先の広島でバリカンを購入し、自らの手で頭を丸めると、7日の試合で決勝弾をマーク。するとそれ以降は「元気のない若手は俺と同じように丸刈りにする」と、“バリカン星人”になることを宣言。10日の横浜戦では若手の藤村が3安打で勝利に貢献するなど、後輩を引き締めた。
 ▽11年オフ 翌年からグアム自主トレに参加することになった大田に対し「カッコつけるのは1軍で活躍してからでいい。その頭をどうにかしろ」と一喝。大田は自ら頭を丸めた。
 ▽12年10月28日 日本ハムとの日本シリーズ第2戦(東京D)、初回2死一、二塁の場面で、沢村が二塁けん制のサインを見落とした。すると阿部はタイムをかけマウンドに向かうと、沢村の頭を右手でポカリと叩き、公開説教。効果があったのか、右腕は初回のピンチをしのぐと8回3安打無失点で日本シリーズ初登板初先発で勝利投手になった。

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