【巨人】内海、新人以来のキャンプ2軍スタートから巻き返す覚悟 松坂と「投げ合いたい」

スポーツ報知
背水の決意で今シーズンに臨む内海は、厳しい表情でトレーニングに励む(カメラ・竜田 卓)

 巨人の内海哲也投手(35)が24日、はい上がる覚悟を語った。新人の04年以来、14年ぶりの春季キャンプ2軍スタート。昨季2勝7敗のベテランは「置かれている立場は分かっている。ファームで結果を残す」などと今年に懸ける強い気持ちを激白した。宮崎自主トレでは既にブルペン入りして状態は良好。09年WBCで共に世界一になった松坂の中日入りにも刺激を受け、完全復活を誓った。

 今年に懸ける決意がひと目で分かった。大雪による球場閉鎖から一夜明け、多くの選手が集結したG球場の室内練習場。その中で、内海の引き締まった表情、軽快な動きが光った。今月上旬から行った宮崎自主トレが順調に進んだ証しだ。

 「向こうではブルペンに入っていました。そういう立場ですから。段階を踏んでやってきたので、いい状態でキャンプに入れます」

 内海といえば毎年、多くの後輩を引き連れ、大所帯でリーダーシップを発揮して自主トレを行ってきた。15年まで米グアムで16、17年が沖縄。だが今年は山口鉄、谷岡、楽天・小山と4人だけの少数。常夏のグアム時代はこの時期からブルペンに入ることもあったが、ベテランが1月から寒い日本国内でブルペンで投げ込むのは極めて異例。それも完全復活のためだ。

 「(宮崎は)最高でしたよ。もう後輩に『ああした方がいい、こうした方がいい』という年齢でもないのかなと。自分のいい調整ができるように集中することを考えて、自分たちのペースでしっかり練習できた。すごく充実していました」

 昨オフは左右の肺の間にある縦隔(じゅうかく)の腫瘍摘出手術を乗り越え、不死鳥のように復活。開幕ローテ入りも、2勝7敗に終わった。15年目の今季、2月のキャンプは1年目の04年以来14年ぶりの2軍スタート。危機感が増した。

 「置かれている立場は分かっているし、チャンスは少ないと思う。現実を受け止めて、まずはファームでしっかり結果を残さないといけないと思っています」

 刺激になる出来事もあった。23日に松坂が中日の入団テストに合格。内海は09年WBCで共に日の丸を背負って世界一に輝いた。松坂はその大会で2大会連続MVPを獲得。雲の上の存在だった大先輩が初めて同じセ・リーグになる。

 「あの時(09年WBC)はすごい人たちの中に入れてもらったな、という感じで(松坂のすごさに)圧倒されていた思い出しかない。僕が何かを言えるような立場ではないですけど、1軍で投げ合うことができたらうれしいですし、そうなれるように僕が頑張らないといけないです」

 松坂は右肩を痛めて苦しんでいた。内海も13年まで4年連続2ケタ勝利を挙げたが、14年に左肩痛で長期離脱した経験がある。その年は7勝9敗、144回2/3で9年連続規定投球回をクリアしたが、15年から2勝、9勝、2勝。今年は「何とかもう一花咲かせたい」と燃えている。

 この日は山口鉄とキャッチボールも行い、左肩の状態の良さを披露した。先発でローテ当確は菅野と田口だけだろう。3番手以降は畠、野上、吉川光、山口俊、中川、ヤングマンらとの競争。キャンプは2軍スタートとなるが、若手に負けるつもりは全くない。順調な仕上がりにも、気を引き締めて意気込みを示した。

 「本番はこれからですから。とにかく与えられたポジションでしっかり結果を残す。頑張りますよ」

 4月で36歳の年男。まだ老け込むには早すぎる。完全復活の先に見える新たな自分を追い求めて、内海は背水の覚悟で今シーズンに臨む。(片岡 優帆)

 【プラスα】

 内海はこれまで投手陣の精神的支柱として先頭に立ち、オフの自主トレは後輩と10人近くの大人数で行ってきた。ハードなランニングで若手を背中で引っ張る姿が印象的だった。

 今オフは対照的で、自分のために多くの時間を使った。昨季2勝に終わり「ふがいない。アピールしないといけない立場。競争に勝てるように、来年なんとか復活できるように頑張りたい」と決意。12月は例年なら参加するトークショーなどのイベント出演もなし。自分と向き合い、黙々とトレーニングをしていたのだろう。ほとんど公の場に姿を見せることはなかった。

 昨年、苦しんだ一番の要因は「フォームが安定できなかったこと」だという。秋季練習では、名伯楽の小谷2軍投手コーチから上半身と下半身を連動させるためのワンポイントアドバイスをもらい、きっかけをつかんだ。オフも継続してフォーム固めに取り組んだ。体調面は問題ないだけに、完全復活の可能性は十分ある。(巨人投手担当・片岡 優帆)

巨人

×