【巨人】山口俊、セオリーと真逆「高めの変化球」操る フライボール革命封じへ秘策!

スポーツ報知
キャッチボールする山口俊(カメラ・佐々木 清勝

 巨人の山口俊投手(30)が25日、移籍2年目の今季に懸ける思いを語り、常識と真逆の仰天発想で巻き返す覚悟を示した。

 テーマは「高めの変化球」。最近の打者のスイング傾向を「ゴロを打つ野球からフライを打つ野球に変わっている」と分析。変化球を低めに集めるセオリー通りの投球に加え、高めの動く球も有効になると考えて今オフ猛特訓した。落ちる球を高めに投げるなどの斬新な発想で勝負する。

 驚きの秘策を用意していた。沖縄、鳥取での充実の自主トレを終え、G球場で練習した山口俊。オフの取り組みを聞かれ「高めの変化球」と明かした。

 「セオリーとは違う発想なんですが、いろいろな野球の情報を見て、ゴロを打ちにいく野球からフライを打ちにいく野球に変わっているなと。打者のスイング軌道もここ2、3年で変わってきている。高めが一番打ちづらいのかなと」

 一般的には、変化球は低めにと考える投手が多い。だが近年、ソフトバンク・柳田のように、上からたたくのではなく、下からすくい上げるような豪快なスイングの打者、考え方が増え始めた。米メジャーでも「フライボール・レボリューション」と話題になるほどだ。山口俊は、そのような打者に対し、ゴロを打たせにいった低めの球を運ばれることを想定し、高めで動く球をオフに猛特訓した。

 「カット、スライダー系、シュート系、縦に落ちる系を高めのゾーン内に投げられればと思っています。抜けたら怖い球ですし投げミスは怖いですが、投げられれば強力になるかなと」

 狭い東京Dを本拠地とするだけに制球ミスは命取りだが、それは覚悟の上だ。もともと山口俊は揺れながら特殊な回転で動く「揺れカット」など10種類以上の魔球を持つ器用な投手。高めのフォークや動く球を自在に操れれば、本来の低めの変化球とのコンビで投球の幅が大きく広がる。

 昨年は右肩違和感で出遅れるも、巨人初登板となった6月14日のソフトバンク戦(東京D)で6回無安打無失点。セ球団初のノーヒットリレーに貢献した。その後はグラウンド外のトラブルもあり4登板で1勝1敗、防御率6・43に終わった。それでも、今季キャンプは1軍スタートで、斎藤投手総合コーチが期待の投手に名前を挙げるなど、先発ローテの有力候補だ。

 「新人の気持ちで、2月1日に100%で入れるようにやってきた。シーズン通して放ることが自分の目標、条件。結果を出すだけ。それ以外何もないです」

 この日はキャッチボールで力強い球を披露し、何度も「結果」と繰り返して決意を示した。常識と真逆の柔軟な発想で生み出した「高めの変化球」を駆使して、勝負の移籍2年目に挑む。(片岡 優帆)

 ◆「フライボール革命」米で本塁打増え多用

 メジャーは昨季、レギュラーシーズンの本塁打が史上最多の6105本だった。その要因とされているのが、日本でも多くの球団が採用するようになったトラックマンシステムに似た「STAT CAST」だ。メジャー全球場に3年前から導入され、ボールの軌道やスピード、回転数だけでなく、打者のスイングスピード、打球の角度、飛距離、また守っている野手の打球に対する移動距離、移動スピードなど多岐にわたる。その中で、全選手の打球角度が明らかになり、25度から30度くらいの「強いフライ」を打つ、ややアッパースイングが本塁打に効果的だったことが証明された。そのため、若手選手の多くがこのデータを生かしたスイング軌道が一気に定着した。

 その一方で、バッテリーサイドも研究を重ねている。打者が手を出しやすい高めの速球やカットボールを多用するケースが目立っており、一発を浴びる危険性もあるが空振りも取れる、高めによる紙一重の勝負が随所に見られるようになってきた。(メジャーデスク・蛭間 豊章)

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