【巨人】元大洋外野手の父も両打ち、ドラ6若林晃弘が目指す左右打席で「ホームラン」

◆ドラフト6位 若林晃弘内野手(24)=JX―ENEOS=
若林に力強い一発が飛びだした。身長180センチ、体重77キロと決して大きいとは言えない体だが、打球は別だ。宮崎合同自主トレ2日目。木の花ドームで行われたマシン打撃で両打席に入り汗を流した。緊張の日々を過ごすが、日に日に充実感が増している。
両打ちは自然な流れだった。1972~81年に大洋(現DeNA)に所属した、両打ちの外野手だった父・憲一さんの影響で野球を始めた。幼少期からボールに触れ合う環境。小1で本格的に野球を始め、小3頃にはスイッチヒッターで試合に出場した。桐蔭学園高では投手も兼任し、打席で右腕に死球を受けないために右打ちがメインだったが、法大から野手一本。「両方は武器になる」と再びスイッチに挑戦した。
だが、昨年までは感覚のズレに悩んだ。もともと右打ちだったため、左打ちは作り上げたもの。右のような感覚ではうまくいかず、左右同じバランスで打てる方法を考えたタイミングの取り方、フォームなど全部を変えた。「都市対抗予選が終わってから、このままじゃだめだなと思って。ジャパンの選考会の時もいろいろ試した。フォームが一打席一打席違った」
毎日が研究だった。軸足が突っ込むクセだったが、しっかり体重を乗せるように意識し、当てるだけじゃなくバットのヘッドを返すことを心がけた。「ボールを長く見られるようになったし、ボール球に手が出なくなった」。昨年9月に行われた社会人日本代表対ロッテ2軍戦では左打席で逆方向に本塁打を初めて打った。効果は出てきた。
キャンプは1軍に抜てきされたが、目指す場所は開幕1軍。二塁には吉川尚、ドラフト5位・田中俊らライバルは多い。「打たなきゃ出られない。当たりが良ければ長打、ホームランになる打撃ができればアピールになる」。1軍生き残りのための試行錯誤は今後も続く。(玉寄 穂波)
◆若林 晃弘(わかばやし・あきひろ)1993年8月26日、東京・中野区生まれ。24歳。桐蔭学園高では楽天・茂木と同期。法大を経てJX―ENEOSに進み、昨年のBFAアジア選手権で社会人日本代表として優勝に貢献。本職は二塁だが内外野どこでも守れる。背番号60。180センチ、77キロ。右投両打。年俸800万円。