【巨人】新助っ人ヤングマン、“異次元の角度”で右打者ビビらす 背中からドスン

巨人の新助っ人テイラー・ヤングマン投手(28)が30日、“異次元の角度”をお披露目した。この日、自主トレのためジャイアンツ球場を初訪問。キャッチボールでは大きく左足を三塁側へ踏み出し、メジャー通算150勝を誇る名投手J・ウィーバーを彷彿(ほうふつ)とさせるインステップ投法で強烈な球を繰り出した。198センチの長身で腕も長く、右打者からすれば球が背中側から来るような、日本ではまず目にしない軌道は、大きな武器となりそうだ。
ハートはすでに熱く燃えていた。ヤングマンは袖をまくった薄いアンダーシャツと短パンでクラブハウスから出てきた。室内練習場とはいえ、外にはまだ雪が残る程の寒さ。「ちょっと肌寒いくらい。アメリカは吹雪いたりしているからね。寒さには慣れているよ」。昨季所属した3Aの本拠地コロラドスプリングスは冬場は氷点下になるだけに、平然と言ってのけた。だが、さらに周囲を驚かせたのはこの後だった。
カミネロを相手に始めたキャッチボール。約20分、丁寧に投げたが、印象的だったのは、左足の使い方。大きく踏み出し、三塁側に着いた。捕手に正対した右足の延長線と交差するような「インステップ投法」で、強烈な球を繰り出した。
「子供の時からこういうフォーム。体をねじるというか、三塁方向へステップしてから投げるユニークなフォームかもね」
一般的に体への負担が大きいとされ、矯正されることもあるため、日本球界ではあまり目にしない投げ方だ。足のサイズ約34センチという恵まれた体や、強靱(きょうじん)な足腰のおかげで可能となる。
「お尻が本塁の方向へ向いてて、(制球に)安定感がある。僕にとっては自然で一番楽ですね」
そこに身長198センチの長い腕も加わり、日本ではお目にかかれない角度から球が来ることだろう。得意のカーブは右打者からすれば背中から曲がってくる感覚になる。エンゼルスでメジャー通算150勝をマークし、昨季途中で現役引退を表明したJ・ウィーバーを彷彿とさせる。「ウィーバーと似ていると思います。いいところは吸収したいと思っているよ」。互いに2メートル近い長身。カーブ、チェンジアップなど持ち球も似ていることもあり、参考にしていることを明かした。
通常、メジャーでは2月中旬から春季キャンプが始まるが、約2週間前にキャンプインを迎える。すでに米国内でNPB統一球を使って投球練習も5、6回こなしている。メジャー球に比べ、革がしっとりしていて、縫い目の山が小さいとされる球にも「握りやすく、しっかり投げられる感じがいい」と対応済みだ。マギー、マシソン、カミネロ、ゲレーロで鉄板とみられた外国人4枠。唯一無二の角度を武器に割って入る。(西村 茂展)
◆ジェレッド・ウィーバーとは 6歳上の兄ジムは98年タイガース1巡指名でプロ入りし通算104勝したが、弟ジェレッドも04年エンゼルスの1巡指名でプロ入り。12年の20勝含め2度の最多勝になるなど通算150勝し昨季限りで引退した右腕。140キロ台半ばのフォーシーム、ツーシーム、カッターと3種類の速球系を投げ分け、これにカーブ、チェンジアップ、スライダーも持ち球。フライボールピッチャーでやや被本塁打が多かった。また、201センチの長身でテイクバックの大きいフォームで打者にとってボールの見極めが難しい投手でもあった。
◆テイラー・ヤングマン(Taylor Jungmann)1989年12月18日、米テキサス州生まれ。28歳。2011年ドラフト1巡目(全体12位)でブルワーズ入り。15年にメジャーデビューし、同年9勝。昨季は3Aで9勝2敗、防御率2.59と安定した成績を残した。メジャー通算30試合で9勝13敗、防御率4.54。198センチ、95キロ。右投右打。年俸8300万円。