【巨人】鍬原“ピストル”速すぎる!初ブルペン30球「初日にしては良かった」

スポーツ報知
初ブルペン入りした鍬原は、捕手を立たせたままで力強い球を投げ込んだ(連続写真=カメラ・池内 雅彦)

 ついにベールを脱いだ。巨人のドラフト1位・鍬原拓也投手(21)=中大=が2日、3軍の沖縄・那覇キャンプでプロ入り後初めてブルペン入りし、捕手相手に力強い球を30球投げた。捕手を務めた宇佐見は「速い。ピストルみたい。ミットへの当たりが強かった。ズドンと来る」と絶賛。現在上半身のコンディション不良でリハビリ中だが、驚異的なスピードで回復中で「初日にしては良かった。フォームを確認しながら投げることができた」とうなずいた。

 一気に緊張感が漂った。鍬原は少し顔をこわばらせながらブルペンに登場。一息つくと、ボールを強く握った。捕手を務めるのは宇佐見。1球目を投げると、乾いたミットの音が響いた。

 コンディション不良の上半身を気にするそぶりはなかった。フォームを確認しながら自分のリズムを刻んだ。テイクバックが小さく、球の出どころが見にくいスリークオーター気味にテンポ良く、糸を引くような直球を投げ込んだ。時折「ナイスボール!」と声が飛ぶ。8、9割の力で捕手を立たせて30球。「良い緊張感でできた。初日にしては良かったと思います」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 立ち投げながらベールを脱いだドラ1右腕に、周囲からは驚きの声が上がった。

 宇佐見「球の回転も質もいい。速い。ピストルみたい。(球が)出たと思ったら急に来る。ミットへの当たりも強かった」

 阿波野3軍投手コーチ「まだ全力ではないけど、ボールは力強くてスピンも利いていた」

 江藤3軍監督「立ちだったけどいいボールを投げていた。さすがドラ1だと思った。もうちょっと(投げるまでに時間が)かかると思ったけど順調すぎるぐらい」

 1月のG球場での新人合同自主トレでは上半身のコンディション不良のため、初日は一部別メニューで調整した。「自分のことは自分がよく分かっている」と、焦らず自分のペースを貫いた。はやる気持ちを抑えながら1月下旬には傾斜を使ってネットスローを行って、ようやくこの日を迎えた。1月の新人合同自主トレで斎藤投手総合コーチは「オールスター前後で投げてくれれば」と前半戦絶望まで示唆したが、驚異的な回復力を見せている。

 制球も安定していた。ネットスローでは投げる時に立ち姿勢を徹底。体が前後に傾かないように、バランス、体重移動を何度も見返した。体を真っすぐ捕手方向に向けて腕を振りまくった。「構えたところにだいたいいった。今までのシャドーピッチングが生きてきたのかな」とうなずいた。

 「まだまだここからです」と強く言い切った新人右腕。翌日の状態を見ての判断になるが4日もブルペンに入り、暖かい沖縄の地で投球の感覚を取り戻す。「徐々にペースを上げていければいいと思います。頑張ります」。完全復活への階段を一段上った背番号29は、気持ちよさそうに汗をぬぐった。(玉寄 穂波)

 ▼生まれとサイズ 1996年3月26日、岡山県生まれ。21歳。177センチ、76キロ。右投右打。

 ▼球歴 3歳で奈良に転居、小3から本格的に野球を始める。大正中では橿原磯城(かしはらしき)シニアに所属。北陸高(福井)では甲子園出場なし。高校通算22本塁打。中大では1年春から東都大学リーグ戦に登板。リーグ戦通算44試合に登板し、11勝13敗。17年ドラフト1位で巨人入団。年俸1500万円。

 ▼阿部からの色紙 元日付スポーツ報知の新春企画として阿部と対談。18年の目標をお互いに書き込み、阿部から「一緒にお立ち台!」と書かれた色紙をプレゼントされ入寮の際に持参。

 ▼好きな歌手 E―girls。特に「ヒマワリ」という曲が好きで、試合に行く時のバスの中で聴いていた。

 ▼後輩は岡本和真 所属していた橿原磯城シニアでは1学年下の岡本とプレー。ジャイアンツカップに出場し、東京Dでプレーした。「小学生の大会とかで一緒になってました。体でかいし化けもん。今でもタメ語でしゃべってくるけど、かわいい後輩です」

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