【巨人】最強二遊間 坂本勇&吉川尚の「サカナオ」スーパーコンビ誕生の予感あり

スポーツ報知
二塁手で受けたシートノックで、ショートバウンドの打球を好捕しトスする吉川尚(カメラ・矢口 亨)

 巨人の吉川尚輝内野手(22)が3日、宮崎キャンプ3日目に行われた初のシートノックで、坂本勇人内野手(29)と二遊間のコンビを組み、軽快に併殺を完成させるなど、正二塁手候補としてシャープな動きを見せた。強化指定選手の大卒2年目が不動のショート・坂本勇と鉄壁の二遊間を組めれば、チームはV奪回へグッと近づく。スーパーコンビの誕生を予感させた美技を、野手担当の後藤記者が「見た」で振り返った。

 それはまさしく、美技だった。センターに抜けそうな打球を追いかけていた吉川尚は、左足をグッと踏み込み、右膝を折りながら滑り込んだ。捕球した直後、体重が後ろにかかり体勢を崩したが、半身の状態から遊撃へ送球したボールは力強かった。捕球した坂本勇が素早く一塁へ送球すると、流れるような「二―遊―一」が完成した。

 宮崎キャンプ3日目で初めて行われたシートノック。二塁・吉川尚と遊撃・坂本勇のコンビが繰り広げた連係プレーは、計7度。冒頭の最後の打球を仕留めた後には、サンマリンスタジアムを拍手が包み込んだ。一連のプレーに吉川尚は「いつも通りやりました。難しい打球でも、しっかりと捕ることを意識しているので」とクールに振り返ったが、球場には確かにスーパーコンビ誕生の予感が漂っていた。

 一番の売りはスピード。チームの長年の課題を解消するため、吉川尚は必死にボールに食らいついている。この日も全体練習前には寺内とともにアーリーワークで井端内野守備走塁コーチから40分間ノックを受けると、打撃練習後も田中俊とともに井端コーチに手で転がしてもらうゴロをキャッチする動作を繰り返した。中日時代、荒木とともに“アライバ”コンビとして鉄壁の二遊間を結成した同コーチは「まだ1球目に対しては甘いけど、2、3球目になるといい動きをする。みんな期待している選手でしょ」と評価している。

 リーグ2連覇中の広島は、菊池、田中が不動の二遊間として君臨するなど、強固なセンターラインを形成。これは強いチームの象徴でもある。由伸監督も「大事なポジションだからね。セカンドであったりは近年、埋まっていないポジションだから」と課題に挙げる。だからこそ潜在能力が高く、広い守備範囲を武器にする16年のドラフト1位を1軍キャンプ(宮崎~沖縄・那覇)の強化指定選手に指名し、台頭を待ち望んでいる。

 昨季、ヤクルトとの最終戦(10月3日・神宮)で2人は初めてスタメンで二遊間コンビを組んだ。オフには坂本勇から誘い、沖縄で合同自主トレを行った。連係は日々向上している。

 練習後の勇人は「まだこれから」と冷静に言った。「守備では速く、正確に投げることを意識している。しっかりとトスの位置だったりを確認しながらやっていきたい」と吉川尚。18年版二遊間の完成が、V奪回のカギを握っている。(巨人野手担当・後藤 亮太)

 ◆日本球界の名二遊間列伝

 ▼鎌田実&吉田義男(阪神) 洲本高時代、名遊撃手だった鎌田だが、57年に大阪タイガース(当時)入団後は「牛若丸」と呼ばれた吉田が遊撃に君臨したため、二塁に転向。鎌田は日本で初めてバックトスを導入したとされる。

 ▼土井正三&黒江透修(巨人) 66年からコンビを組み堅実な守備力でV9に貢献。黒江は「豆タンク」の愛称で親しまれた。

 ▼荒木雅博&井端弘和(中日) 02年からアライバコンビとして13年まで続いた。04年から09年まで6シーズン連続でゴールデン・グラブ賞を受賞した。

 ▼菊池涼介&田中広輔(広島) 15年からコンビを組み、16、17年は不動の二遊間でリーグV2に貢献。菊池は13年から5年連続でゴールデン・グラブ賞を受賞し、球界を代表するセカンドに成長。

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