【巨人】杉内、3軍キャンプの若手を憂う「ピリピリ感がない」「野球は楽しくないもん」

スポーツ報知
3軍キャンプで調整する杉内

 巨人の杉内俊哉投手(37)が4日、若手選手へプロの厳しさを説いた。現在は左肩痛のため沖縄・那覇で行われている3軍キャンプに参加中。最大19歳年齢が離れた若手選手とともに汗を流している。プロ17年目で初の3軍キャンプに「1軍のようなキャンプ中のピリピリ感がない。同じ失敗をしたらいけない」「野球選手は平等じゃない」など気持ちを激白した。

 杉内は鋭い視線を送っていた。前日の3日に3軍沖縄キャンプで行われた投内連係を、端から見て思うことがあった。

 「失敗して笑うなじゃないけど、同じ失敗を何回も平気でできてしまう。周りも強く言わない。OK、OKとか言っちゃう。それじゃ上手にならないよね。失敗はするものだけど、同じ失敗を繰り返したらダメ。それは周りが言ってあげなきゃ。(成長に)つながらないよね」

 杉内が01年ドラフト3巡目でダイエー(現ソフトバンク)に入団したとき、当時は王監督の下、先輩には斉藤和巳、松中、小久保、城島、井口、秋山、川崎らそうそうたるメンバーがいた。

 「投内連係で俺も何回も先輩、コーチに怒られたよ。投内でしくじるようだったら成功しない。だから自分の中で絶対、確実にアウト1個って決めてた。ピリピリしていた。(今は)1軍みたいなキャンプ中のピリピリ感がない」

 15年10月に右股関節の大手術を受け、約2年半1軍登板なし。“松坂世代”と呼ばれる同世代の村田、実松は巨人から戦力外通告を受け、松坂は中日で再スタート。自身もけがからの復活を目指す。プロの厳しさは十分に知っている。

 「野球を楽しむのは不可能なんだよ。野球は楽しくないもん。楽しいのは草野球まで。プロで負けてヘラヘラしてるやつは大成できないよね。今(の若手は)負けても切り替えが早いなあって思う。上の人は次がないと思ってやってるから」

 チームは今季「若返り」が一つのテーマ。だが、ベテラン陣も負けまいと再起を狙う。その必死さを若手は学ばないといけない。

 「内海もそう思ってるはず。『今日やらないと』『次やらないと』とか。全盛期の時は投げれば勝つ。そう思ってチャンスをつかんできた。まだ若いから、次はチャンスあるとか思ってたらダメ。野球選手は平等じゃない。ドラフト最下位より1位の子の方がチャンスがある。俺も1位の寺原に負けたくないと思ってやってきた」

 プロ通算316登板で142勝(77敗)。常に誰にも負けまいと思って闘ってきた。今は自分と闘う。現在、キャッチボールの距離も40メートルを超えた。

 「早く1軍に上がりたい。けがを早く治さないと。今は野球選手じゃない(状態)。首脳陣にも早い段階でブルペンに入って、(実戦で打者を)抑える姿を見せたい」

 37歳でも野球と向き合い、貪欲に取り組む左腕。背番号18の姿は、若手選手の心と目に強く焼きつくはずだ。(玉寄 穂波)

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