【巨人】ヤングマン、交際11年妻のため「日本で成功する」求婚熱く、投は冷静、打も得意

スポーツ報知
西城秀樹の大ヒット曲「ヤングマン」の振り付け「YMCA」を披露する巨人の新戦力・ヤングマン(カメラ・中島 傑)

 巨人の新助っ人、テイラー・ヤングマン投手(28)が宮崎キャンプ休養日の5日、スポーツ報知のインタビューに応じた。昨年11月、高校時代から交際11年になるブリタニー夫人と結婚。熱いプロポーズで彼女のハートを射止めた右腕は、マウンドでは冷静、頭脳的な投球が持ち味と強調。11年全米ドラフト1巡目指名の新戦力は「妻のためにも日本で成功したい」と決意を示した。(取材・構成=片岡優帆)

 人生初の日本行きに迷いはなかった。ヤングマンはメジャーのブルワーズに全米ドラフト1巡目で入団し、15年には先発として9勝した実績がある。28歳と若く、将来性がある中、巨人からのオファーに移籍を即決した。

 「アメリカだったら今年はマイナーで投げる可能性が高かったし、新たな経験ができるチャンスだと思った。日本はフットボールのように応援がすごい。そんな環境で野球をやりたい気持ちもあった。東京は素晴らしい街と聞いている。旅好きの妻も喜んでいるよ」

 妻のブリタニーさんは91年生まれ。89年生まれのヤングマンにとって同じ高校の後輩で、高校時代から付き合っていた。純愛を貫き、交際11年の昨年11月に結婚。プロポーズはテキサス州オースティンにあるペニーバッカー橋近く。湖を横断するアーチ型の大きな橋は有名な夜景スポットだ。サプライズ演出は大成功だった。

 「彼女に向こうの景色を見てごらん、と言って遠くを見てもらった。その間に、彼女の背後で片膝をついたんだ。『こっちを見て』と振り向いてもらって『結婚してくれないか』と指輪を差し出した。とても喜んでくれたよ。お互い違う大学に進んだけどデートを重ねた。卒業後は仕事をせず、メジャーでプレーする私についてくれて、ずっとサポートしてくれた」

 結婚したのは巨人のオファーより前。長い交際期間を経て、なぜ昨年だったのかは「タイミングだよ」と笑った。妻は開幕前に来日予定。1年でも長く日本でプレーすることが目標だ。

 「今はいずれメジャーに帰りたい、とかそういうことは全く考えていない。妻のためにも巨人で長く活躍して日本で成功したい」

 契約は単年。来日1年目の今年が勝負と考える。マウンド上ではどんな時も冷静、感情を表に出さない。打たせて取る省エネ投球が持ち味だと強調した。

 「私はグラウンドボールピッチャー。直球は150キロ前後で剛速球はない。縦のカーブが得意で、ゴロを打たせるタイプです。先発として少ない球数で長いイニング投げたい。ブルペンを休ませるためにもね。試合中は顔に出さないようにしている。相手に心境を悟られないように常にポーカーフェース。良い時も悪い時もね。反省は頭の中に入れて考えながら投げるよ」

 高校2年まで野球と並行してバスケットボールもやっていた。身長198センチ、足の大きさ34センチの肉体はバネのようにしなやか。そのためか、打撃も得意だ。15年にはメジャーで37打数10安打、打率2割7分をマーク。二塁打も2本放った。

 「身長は昔から大きかった。バスケットをやっていたからかな。足のサイズは13歳の時に13インチ(33・02センチ)あった。野球では基本的にずっと投手だったけど打撃も好き。巨人はブルワーズと一緒でDHがないリーグだから楽しみだね」

 けがをしない体の強さも魅力だ。11年のプロ入り以降、故障歴が一つもない。

 「高校の時に肘の簡単な治療を受けたことはあるけど、それ以外はけがをしたことが一度もない。スタミナには自信があるよ。とにかくたくさん食べてトレーニングをするようにしている。好物はチキン、野菜、果物。マヨネーズは味が濃いから苦手なんだ」

 昨季14勝したマイコラスがメジャーに移籍。その穴を埋める先発候補として期待される。1軍の外国人登録枠は「4」。マギー、ゲレーロ、マシソン、カミネロ、ヤングマンと5人で競争だ。

 「それは自分が決めることではないからね。置かれた状況で自分のできることを一生懸命やるだけさ。もし2軍にいったとしても、1軍に呼ばれるまで集中して準備する。ここ2、3年はメジャーにいったりマイナーに落ちたりという生活だったし、そういうのには慣れている。どんな形でもチームに貢献したい」

 キャンプは第1クール終了。日本の練習量の多さに驚きながら、「野球をやるということは同じ」とランニングもまじめにこなす。本拠地で流す登場曲は名前の通り、西城秀樹の「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」を予定。自ら日本バージョンを「You Tube」で検索して視聴し、好印象を抱いた。

 「YMCAのメロディーが東京ドームで流れると思うとワクワクする。あのダンスをみんなが踊ってくれたら盛り上がるだろうね。1試合でも、1回でも多く球場にこの曲を流して優勝に貢献できたら最高だね」

 情熱的な熱いプロポーズを大成功させて海を渡ったヤングマン。素晴らしい人間性、冷静かつ頭脳的な投球術で、巨人ファンに感激を与えてくれるだろう。

 ◆テイラー・ヤングマン(Taylor Jungmann)1989年12月18日、米テキサス州生まれ。28歳。2011年ドラフト1巡目(全体12位)でブルワーズ入り。15年にメジャーデビューし9勝。昨季は3Aで9勝2敗、防御率2・59と安定。メジャー通算30試合で9勝13敗、防御率4・54。198センチ、95キロ。右投右打。背番号39。年俸8300万円。

 取材後記 「M」が「O」に見える
インタビューをした日は強風で極寒だった。そんな中、ヤングマンに1軍宿舎の外で写真撮影を頼んだ。ロビーを出て、ヤシの木まで30メートル歩いて移動。快く一枚ずつ「Y」「M」「C」「A」のポーズを取ってくれた。「寒いね」と急いでロビーに戻ったのだが…。

 その場で写真を見返すと「M」が「O」に見える。中島カメラマンが困惑していると、自ら「この写真で大丈夫かい? もう一度、外に出て撮り直そう」と言ってくれた。凍えるような寒さの中、再び外に出て「テイク2」。いつもニコニコしている優しい男だが、性格の良さを目の当たりにした。

 和食を好み、日本文化の吸収にも積極的。「日本語は英語より表現が長くて難しいね」と猛勉強中だ。来日7年目のマシソンが「彼は日本で成功したいという気持ちが強い。とてもナイスガイだ」と活躍に太鼓判を押すのもうなずける。(投手担当・片岡 優帆)

巨人

×