【巨人】ドラ1鍬原、交流戦前1軍もあるぞ「見返してやる」

スポーツ報知
ブルペンでキレのある球を投げ込む鍬原

◆ドラフト1位 鍬原拓也投手(21)=中大=

 上半身のコンディション不良で3軍の沖縄キャンプに参加している巨人のドラフト1位、鍬原拓也投手(21)=中大=が5日、ブルペンで初めて捕手を座らせるなどして50球を投げた。「(状態は)徐々に上がっている」と早期1軍へ歩を進めている。新人の支配下8選手を紹介する「宮崎キャンプ 60年目の1年生」の第7回。黄金ルーキーの現状に迫った。

 一球に思いを乗せた。鍬原は初めてブルペンで捕手を座らせて、10球を投げた。ブルペンには鹿取GM、3軍首脳陣、岡崎スカウト部長らが視察。緊張感が漂う中、息を整え、自分のリズムで投げ込む。捕手を立たせて20球、中腰で20球の計50球。自然と気持ちも入り一球一球力がこもった。「力みましたね。いろんな人に見られてると考えた時に勝手に力が入ってしまった」と頭をかいた。

 順調な証拠だと言える。2日に初めてブルペンに入って、捕手を立たせて30球。威力ある球を披露した。その後も異常はない。「上半身的にも順調です。(状態は)6割ぐらい。徐々に上がっています」。鹿取GMも「彼の中で順調に来ている、ということでしょう」とうなずいた。

 1月の新人合同自主トレでは一部別メニュー。斎藤投手総合コーチは前半戦不在も覚悟したが現在、鍬原の状態は上がっている。8日からの第2クールでブルペン入りは2回の予定だが、阿波野3軍投手コーチは「第2クールで2回の予定から3回にペースを上げてもいいかも」とペースアップを示唆。5月29日から始まるセ・パ交流戦前の1軍登板も夢物語ではないかもしれない。

 逆境に打ち勝つと決めていた。上半身のコンディション不良発覚後は恐怖、不安と戦ってきた。「投げられない不安はありました。自分の気持ちを整理するのに大変だった。外では気にしてないです、と言ってたけど…。(嫌な言葉は)嫌でも入ってくる。見返してやろう、という気持ちにはなりましたね」

 中学時代はサイドスローだったが、中2の時に右肘じん帯炎症を起こしスリークオーターになった。少しずつではあるが、年を重ねるごとに、よりテイクバックの小さい“プロ仕様”に改造してきた。2日のブルペンで球を受けた宇佐見は「打者としたら打ちにくいフォーム。球の出どころが分かりづらい」と説明した。

 きっかけは中大入学後。球は速いが、なぜか打たれていた。「打者にいかに打たれないようにするか」を考え、改めて自分の動画を見た。テイクバックが大きく、球が丸見えだった。動画、連続写真で微調整。好調時の自身のフォームをマネすることも心掛けた。小学2年の頃からドラゴンボールの写し絵を見たまま描くことが得意。「見た物を自分がどう再現できるか。マネが上手かとか、そこは大事だと思う」。得意の絵も投球につながっているのかもしれない。

 「しっかり投げれるようになってから、1軍のマウンドを目指したい」。また一歩、前進した。(玉寄 穂波)

 ◆鍬原 拓也(くわはら・たくや)1996年3月26日、岡山県生まれ、21歳。3歳で奈良に転居、小3から本格的に野球を始める。大正中では橿原磯城シニアに所属、中学硬式日本一を決めるジャイアンツカップに出場。北陸高(福井)では甲子園出場なし。中大では1年春からリーグ戦に登板。通算44試合に登板し、11勝13敗。177センチ、76キロ。右投右打。背番号29。年俸1500万円。

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