【巨人】菅野、セ47年ぶり左右被打率1割台へ 右斬り新魔球に陽岱鋼「味方で良かった」

スポーツ報知
ブルペンに入った菅野は捕手にシンカーの握りを見せる(カメラ・矢口 亨)

 巨人の菅野智之投手(28)が6日、「右打者斬り」のイメージを完成させた。居残り練習でブルペン入り。スタッフに右打者役を頼み、新球の高速シンカーを初めて打者をつけて本格投球。計15球低めに集めた。見ていた陽岱鋼は「最強。味方で良かった」と驚がく。昨年は対左の被打率1割8分3厘に対し、対右が2割8厘。各球団に右の強打者がいる中、セ47年ぶりとなる「左右被打率1割台」の偉業に挑む決意を明かした。

 投げるたびに熱を帯びていった。菅野は全体練習後の個別メニューの時間に、木の花ドーム内で遠投を行った。20メートルに距離を縮め、長袖のTシャツ姿で力強い球を披露すると、「思ったより状態が良かったので」とブルペンへ。圧巻の右斬りショーが始まった。

 直球、カーブの後、座ったブルペン捕手に高速シンカーを8連投。「打者がいた方がイメージしやすい」とスタッフに右打者役を頼み、実戦モードで膝元に縦に沈む新球をさらに6連投した。その後も直球とスライダーを交ぜながら、高速シンカーは全25球(打者を立たせ15球)、低めに集めた。捕手の後ろで見た右の強打者・陽は驚いた。

 陽「最強。すごい。あれはえぐい。右は打てない。味方で本当に良かった」

 マウンド上の菅野も確かな手応えを得ていた。

 菅野「現段階の感触はすごくいいです。右打者が(シンカーを警戒して)内角を捨ててくれれば、内角に直球をグイグイいける。(踏み込ませないことで)外角のスライダー、直球もより生きると思います」

 17勝5敗、防御率1・59で沢村賞を獲得した昨年、菅野は対左打者の被打率が1割8分3厘に対し対右が2割8厘。ともに良い数字だが満足していない。

 菅野「被打率と防御率はイコールだと思います。(左右)両方1割台にできれば、防御率はもっと良くなると思っています」

 他球団には、昨季の被打率3割9分1厘だったDeNA・ロペスや宮崎、広島・エルドレッドや鈴木、阪神・ロサリオ、ヤクルト・バレンティンといった右の強打者が並ぶ。左右ともに被打率1割台をクリアすれば、セ・リーグでは71年の大洋・小谷正勝(現巨人2軍投手コーチ)以来、47年ぶりの偉業だ。

 「昨年はチェンジアップに挑戦しましたが、現時点で使えるメドが立たなかった。シンカーはもっともっと良くなると思います」。右打者斬りの新魔球完成で、敵なしの右腕が更にすごみを増しそうだ。(片岡 優帆)

 ◆記録メモ

 ▼…菅野(巨)は入団1年目の13年から、年度別の被打率が・249→・237→・230→・228→・194。年を追うごとに良くなり、昨年はセ・パ規定投球回以上の投手25人中、1割台は菊池(西=・184)と2人だけ。セでは09年のチェン(中=・193)以来だった。

 ▼…昨年の被打率は左打者との対戦で・183、対右打者に・208。一方で菊池は対左・193、対右・179と、左右ともに1割台だった。最近では07、11年ダルビッシュ有(日)、12年の吉川光夫(日)も両方を1割台に抑えたが、セで左右打者ともに1割台は、71年の小谷正勝(大洋=左・198、右・169)が最後になる。

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