【巨人】松井秀喜臨時コーチ「タメ作れ」小林に密着50分

スポーツ報知
小林(右)は松井臨時コーチから打撃指導を受ける(カメラ・竜田 卓)

 巨人の宮崎キャンプで臨時コーチを務める松井秀喜氏(43)=ヤンキースGM付特別アドバイザー=が6日、キャンプに合流した。2年ぶりに古巣を指導し、初日から小林に対して打撃フォームに関して身ぶり手ぶりを交えた約50分のマンツーマン指導を行った。由伸監督の特命を受けた松井臨時コーチは「彼(小林)が少しでも成績を伸ばせば、それはジャイアンツの得点につながる」と得点力のキーマンに指名。4年ぶりV奪回へ燃えるこの春、ゴジラの指導で小林が変わる。

 熱血講義は練習後に突然、始まった。木の花ドームで午後3時38分、特打が始まった時だった。松井臨時コーチがケージ内の小林に声をかけた。「打撃の調子どう?」「まだまだです」。その返事に小さくうなずくと、一気に言葉が熱を帯びた。

 この日、松井氏は午前10時26分にサンマリンスタジアムに到着。主に午前はブルペン、午後はフリー打撃を視察したが、静かに見守っていた。満を持しての指導開始。ケージの真横から、真後ろから。くまなく打撃フォームをチェックし、次々と小林に助言を与えた。

 「彼が少しでも成績を伸ばせば、それはジャイアンツの得点につながる。少しでもお手伝いできればいいなと思っているだけです」。昨年、規定打席到達者の中で12球団ワーストの打率2割6厘に終わった小林が変われば、チームが変わる。対左投手、対右投手、正面からのティー打撃の3か所を15分ずつ打ち込むメニューだったが、小林が移動する先に松井臨時コーチがついて回った。約45分の特打が終わったあとも、5分間、解説を続けた。濃密な50分間。世界のゴジラを独占した。

 「2人の秘密です」と松井臨時コーチは指導内容の詳細は伏せたが、身ぶり手ぶりは軸足にしっかりと体重を残し、球を迎えにいかずにタメを作って、腕を出さずに腰から回れ―と語っているように見えた。日米507発を生んだ打撃の極意を惜しげもなく伝えていった。

 小林「下半身の使い方や、ボールとの距離の取り方を教えてもらいました。軸足に(体重を)乗せて、左足でボールを探りに行く。僕は前に打ちに行ってしまう癖があるので。(右足に体重を)9割とか、そういう話をしていただきました」

 高橋監督からは他にも吉川尚、岡本の重点的な指導を頼まれた。今後も各選手の打撃フォームを中心に、気になるところを指導していく。投手陣に求められればブルペンの打席にも立ち、2軍の練習にも行く。しかし、きっちりとくぎを刺すことも忘れなかった。

 松井臨時コーチ「(指導しても)打てるようになるという保証はどこにもない。あくまでも私が『こうした方がいいんじゃないのかな』ってことを伝えるだけ。あとは本人の判断、本人の努力ですから」

 全ては愛する巨人が強くあってほしいという願いから。松井氏は10日に開催するソフトバンクとのOB戦にも出場し、12日まで滞在予定だ。2年ぶりに訪れた宮崎の地で初日から約7時間にわたった“ゴジラ塾”。時間は限られるが、選手にとって飛躍のチャンス。これに応えなければ、男じゃない。(西村 茂展)

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