【巨人】山口俊、紅白戦で218日ぶり実戦復帰 全球直球勝負「喜びを感じました」
◆紅白戦 白組4―10紅組(12日、サンマリンスタジアム宮崎)
巨人・山口俊投手(30)が12日、紅白戦で1イニングを3者凡退に抑え、218日ぶりの実戦復帰で存在をアピールした。同点の4回から3番手で登板し、全て直球勝負で最速144キロをマーク。全てストライク、わずか10球で仕留めた。前日に長嶋茂雄終身名誉監督(81)=報知新聞社客員=からキーマンに指名された男は、7月9日の阪神戦(甲子園)以来となる実戦登板に「感覚は悪くなかった。野球ができる楽しさ、喜びを感じました」と手応えを口にした。
喜び、うれしさ―。山口俊はさまざまな感情を胸に腕を振った。同点の4回2死、ドラフト4位・北村=亜大=を見逃し、ファウルで追い込んだ。最後は142キロの直球を投じ二ゴロで打ち取った。スタンドからは大きな拍手を浴びた。「野球ができる楽しさ、喜びを感じました」と穏やかな表情を見せた。
剛速球がうなった。ドラフト3位の大城=NTT西日本=をファウル2球で追い込むと、144キロで見逃し三振。ズドンとミットの音が鳴り響いた。続く和田には2ストライクからの4球目、力で押し切って遊ゴロ。北村も3球で仕留め、わずか10球、オール直球、ボールなしのストライク投球だった。「直球で今の状態、仕上がりを確かめる。直球だけという課題で投げた。その中では順調なのでは」と手応えを口にした。
昨季は右肩違和感もあり春季キャンプは3軍スタート。若手や育成選手と寝食を共にし、リハビリ生活を乗り越えた。6月14日のソフトバンク戦で初登板。だが、7月にグラウンド外のトラブルを起こし、7月9日の阪神戦(甲子園)を最後に1軍のマウンドから姿を消した。FA移籍初年度は結果を残せず、わずか4登板で1勝1敗、防御率6・43だった。
リベンジにかける今季、周囲の期待をひしひしと感じている。前日の11日は長嶋終身名誉監督から「君の本来の力が必要だ。頼む」と声をかけられ、チームのキーマンとして指名を受けた。「今シーズンは頑張りたい。長嶋さんの頑張れという言葉に添えるようにしっかり頑張りたい」と決意を新たにしていた。
昨年末からローテの一角として右腕の名を挙げていた由伸監督は218日ぶりの実戦に「やっぱりいいなぁと思ったよ。今日はね」とうなずき、女房役を務めた岸田は「すごく良かったです。速い、球が重かったです」と目を開いた。
今年はキャンプインからブルペンで連日の投げ込みを行い、順調なスタートを切っている。先発ローテは菅野、田口は確定しているものの、3番手以降に野上、畠、吉川光らライバルがひしめく。山口俊もその位置を狙わないといけない立場の一人だ。「やることは決まってる。自分の思うボールを投げられれば。残りのキャンプ、オープン戦を一日一日大事にしていきたい」。再スタートを切った右腕。期待を背負い、チームの勝利を担う。(玉寄 穂波)
◆G山口俊の紅白戦全球表
打者 球種 球速 結果
大城 直球 142 ファウル
〃 直球 143 ファウル
〃 直球 144 見三振
和田 直球 136 見逃し
〃 直球 139 見逃し
〃 直球 142 ファウル
〃 直球 141 遊ゴロ
北村 直球 143 見逃し
〃 直球 141 ファウル
〃 直球 142 二ゴロ