【巨人】松井秀喜臨時コーチ、置き土産は“ジーター哲学”

スポーツ報知
打撃練習後、ナインを集めて話をする松井臨時コーチ(右は坂本勇=カメラ・竜田 卓)

 巨人の宮崎春季キャンプで臨時コーチを務めた松井秀喜氏(43)=ヤンキースGM付特別アドバイザー=が12日、指導者としての日程を終え、ナインにエールを送った。松井氏は1軍野手陣を集め「結果で一喜一憂せずに受け入れ、次に自分は何をするか、の繰り返し」と、ヤンキース時代の同僚だったD・ジーター氏の言葉を引き合いに出しゲキ。強い巨人の復活を願い、歓喜を分かち合える秋の到来を期待した。

 最後の“置き土産”だった。臨時コーチとしての最終日、松井氏が午前中のフリー打撃終了後、1軍野手陣を集めて輪の中心に立った。約10分の「講義」に勇人も、小林も、陽岱鋼も直立不動で聞き入った。

 「これから実戦になって、いい結果、悪い結果、必ず出ます。そこで一喜一憂するんじゃなく、結果を受け入れて次、自分は何をするか。その繰り返しを日々やっていかなきゃいけない。これ、ジーターがいつも言っていた。毎日、every single day(来る日も来る日も)ね」

 ヤンキース時代の同僚でもあるD・ジーターの哲学を引き合いに出し、積み重ね、継続の重要性を説いた。

 6日の合流から7日間、精力的に動いた。高橋監督に重点的指導を頼まれた岡本、小林、吉川尚を始め、多くの選手へヒントを与えた。主に軸足に体重を残し、タメを作る打法を伝授。この日の紅白戦でも小林は2戦連続マルチと成果を上げた。「継続してやって、いい形でシーズンにつながってくれれば」。最も指導に時間を割いた岡本も2戦連続安打を放つ一方で、打席ごとの内容に波はあった。「結果が出ないから、またすぐ変えたりするんじゃなくてね。彼の中で信じることがあるなら、それをやり続けてほしい」。ここでも2人に日々の継続を願った。

 訓示の最後は当然、ジャイアンツ愛で締められていた。「僕もOBとして、やっぱりジャイアンツに勝ってほしい。僕も勝ったジャイアンツを見て喜びたい」。チームを離れても、松井氏自身も日々、継続したチェックを約束した。前回、臨時コーチとして指導した16年時を思い起こしながら「レギュラーが固まっている具合という意味では、2年前よりも今の方がチャンスがある。伸びしろはどんな選手も無限大。そう信じて頑張ってほしい」。目の色を変えてチャンスをつかもうとする若手が頼もしく映った。強くあれ、巨人。そう願い、宮崎の地をたった。(西村 茂展)

 ◆松井氏とジーター氏 03年から7年間ヤンキースで一引退後も親交緒にプレーし、09年には松井氏がワールドシリーズMVPに輝くなど、世界一を経験した。ヤ軍の元主将が「彼は常に大好きなチームメートのひとり」、松井氏も「彼は最も尊敬できる選手」と話すなど、互いを尊敬し合う間柄だった。ともに現役引退後も親交を続けている。ジーター氏は現在、マーリンズの共同オーナー。

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