【巨人】菅野、期待の吉川尚と岡本相手に圧巻の初フリー登板

スポーツ報知
打撃投手を務めた菅野は岡本(手前)を相手に貫禄の投球を見せた(カメラ・中島 傑)

 巨人の菅野智之投手(28)が16日、期待の若手野手2人に超一流のすごみを見せつけた。今キャンプ初のフリー打撃登板で吉川尚、岡本と対戦。新球高速シンカーを初めて打者に投じ、計50球で安打性はわずか3本。予告したストレートでは一度も快音を許さず、若手の成長を促すような圧巻の投球を披露した。チーム全体のレベルアップを図るエースは、岡本に「雰囲気を感じた」などと好感触も口にした。

 分かっていてもバットの芯に当たらない。菅野の進化したストレートがうなりを上げた。岡本への初球。予告した外角直球で空振りを奪った。ラスト25球目も同様の予告直球で押し込んで一塁側へのファウル。制球、球威とも抜群だった。

 菅野「一番大事なのは外のストレート。真っすぐを両コーナーにしっかり投げられたので良かったです」

 予告した直球では安打性ゼロ。多彩な球種を持つが、オフのハワイ自主トレから「軸はストレート」と強調。キャッチボールの一球一球を大切に精度を磨いてきた成果を発揮した。その中で岡本の成長も見逃さない。

 菅野「岡本あたりにいい当たりをされるようじゃダメですが、僕が思っている以上に振る力もあるし、雰囲気も感じた。(球種を伝えない)ミックスの初球の内角真っすぐにもうまく反応していた。(左前にライナー)。徐々にやっていることが形になっていけばチーム的にもいいと思います」

 昨年は17勝、防御率1・59で沢村賞に輝き、今年から選手会長に就任。「自分のことだけでなくチームを引っ張っていけるように」と全体のレベルアップを目指し先頭に立つ。この日、対戦したのは期待の高い若手2人。吉川尚からも予告直球で空振りを奪った。球界最高峰の球を見せて互いに成長、向上する。そんなリーダーの思いが見えた。

 初めて打者に投じた新球の高速シンカーでも2人から空振りを奪い「ほぼ完成に近い」と手応え。右打者内角ボールゾーンから曲げるスライダー「インスラ」も岡本に投じ、外角直球をより遠く見せて圧倒した。極上の生きた教材に若手2人は目を輝かせていた。

 岡本「速かったです。外角もギリギリのビタビタ。キレが違う。立たせていただいて良かったです」

 吉川尚「こういう投手がいるんだと思いました。シンカーは言葉にできない。ただただすごい。消えた」

 登板後は「順調です」と強調した菅野は、21日の練習試合、ヤクルト戦(那覇)が初実戦となる見込み。悲願の日本一へ自分のことだけでなく、チーム全体を見る。吉川尚、岡本との対戦は中身の濃い、充実した50球だった。(片岡 優帆)

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