【巨人】ドラ5ルーキー田中俊、変幻自在打 由伸監督「全部の打席に内容あった」
◆練習試合 中日5―3巨人=特別ルール=(17日・那覇)
巨人のドラフト5位ルーキー田中俊太内野手(24)=日立製作所=が17日、今季初の対外試合となった中日との練習試合(那覇)に「2番・三塁」でフル出場し、2安打1打点と存在感を示した。
今後も打力をアピールし続ければ、吉川尚輝内野手(23)との二塁争いだけでなく、三塁手として同時起用される可能性も現実味を帯びてきた。その吉川尚は3安打と気を吐き、「一塁&三塁手争い」に名乗りを上げる岡本和真内野手(21)も強烈な打球をかっ飛ばすなど結果を出した。
変幻自在のバットマンが輝きを放った。田中俊は満足げにうなずいた。「打撃も守備も役割があると思うので、それをイメージしながら。うまく整理しながらできたと思います」。初回無死二塁では、又吉から進塁打となる一ゴロで先取点をアシスト。同点に追いつかれた直後の2回1死満塁では、きっちり右犠飛で1点をもたらした。
黒子に徹するだけではない。5回1死では小笠原から右中間二塁打を放ち、7回2死一塁では柳から左前打。「まだ春先で(投手は)できあがっていない」と謙遜したが、プロ初の対外試合で中日の主力級3投手を攻略した。高橋監督も「全部の打席に内容があったと思う。いい対応ができていた」とたたえた。
田中俊の台頭はうれしい悩みだろう。本職は二塁で、基本的には吉川尚とのポジション争いという構図だが、この日は三塁でスタメン。9日の紅白戦(サンマリン)でも途中から三塁に入ったように、一塁・マギー、二塁・吉川尚、三塁・田中俊という同時起用の可能性もゼロではない。指揮官は「同じポジションで2人は試合に出られないから、色んなことに挑戦して、1軍の試合に出るチャンスをそれぞれがもらえるようにしてほしい」と期待を込めた。
東海大相模高、東海大で日本一になり、日立製作所でも都市対抗で準優勝した。そんなアマ界屈指の名門で育ったが、レギュラー争いとはほぼ無縁だったという。「自分のやるべきことをやれば、チャンスはあると思ってやっていました」。シンプルではあるが、自分を高めることに専念し続けた結果、気がつけばいつもチームの主力としてグラウンドに立っていた。
巨人でもスタイルは変わらない。守備練習で多くの時間を一緒に過ごす井端コーチは「俺が他の選手に教えてる時でも、『自分はどうかな』と置き換えて考えている」と証言する。「相手よりも自分の形、軸でプレーできれば。その土台をしっかり作っていきたい」と俊太。エリート街道の続きも、視界が開けつつあるようだ。(尾形 圭亮)