【巨人】由伸監督、愛のノック劇場398球!ヤジあり笑いあり62分

スポーツ報知
泥んこになってノックの打球を追う阿部(連続写真=カメラ・関口 俊明)

 お前らが中心なんだ―。巨人・高橋由伸監督(42)が22日、阿部、坂本勇に吉川尚、岡本とベテラン、若手の柱にノックの雨を浴びせた。沖縄・那覇キャンプ第2クール最終日のこの日、全体練習後の特守で、井端内野守備走塁コーチとともにバットを握り、全398スイングの乱れ打ち。選手からの強烈なヤジも飛び交う中、泥と汗にまみれ、そして笑いにあふれた1時間2分の儀式で士気を高めた。

 午後3時28分、ノックバットを携えた高橋監督がグラウンドへ飛び出した。沖縄セルラースタジアム内の音楽が止まり、一瞬訪れた静寂を岡本が破った。「ノッカー、元気出していきましょう」。背番号25のかけ声で、魂を伝える儀式が始まった。

 由伸監督の最初の一振り。「ヘイ、勇人!」。張り上げた声とは裏腹に、芯で捉え損ねた打球が二遊間へ力なく転がる。「お~い、ノッカー!」。坂本勇にいきなりイジられて幕を開けたが、すぐにテンポを上げて井端内野守備走塁コーチと交互に打つ、打つ、打つ。昨年開幕直前に行って以来の本気モードで選手を左右に揺さぶり始めた。

 特守に選ばれたのは一塁・阿部、二塁・吉川尚、遊撃・坂本勇に、三塁・岡本。特に期待が大きい4選手だ。「それ(期待)もあるのか、井端が組んだこと」と高橋監督は説明したが、いずれもがチームの浮沈の鍵を握る。お前らがやらなければいけないんだ―。厳しい打球の雨が、そう物語っていた。

 極限の疲労も、笑いが和らげる。三塁線の強烈な打球を4本連続でつかめなかった岡本を、坂本勇が「暴言吐いてます。『ヒットやんけ!』って」とチクる。吉川尚が、阿部が、絶対に無理な打球にも飛び込んで見せ、互いのテンションを高め合った。極めつきは中盤、指揮官が手のひらを気にするそぶりを見逃さなかった主将が声を張り上げた。

 坂本勇「監督、マメできた? 選手みんなマメできてるよ!」

 選手個々には昨年比で4倍の振り込みを課している今春キャンプ。その先頭に立ってチームを引っ張っている主将の強烈な“口撃”に、スタンドの観客もどっと沸いた。

 午後4時30分。最後は阿部が一塁線の打球をがっちりつかんで、1時間2分のノックの嵐は終了した。全員がユニホームを真っ黒に汚した。岡本に123、坂本勇に79、吉川尚に112、阿部に82の計396スイング。さらには一塁で捕球役を務めていた朝井打撃投手に打ち込んだ2本も加えた魂の398スイングで気合を注入した。「こっち(沖縄)来てからみんなよく動けていますし、元気にこうやってくれているのが一番」。手応えを感じ取った指揮官は大粒の汗をぬぐった。4年ぶりV奪回へ中心となるべき選手に、由伸監督の思いが届けられた。(西村 茂展)

 ◆由伸監督のノック
 ▽15年11月10日 秋季キャンプ第1クール最終日に就任後初めてノックを行い、内海と大竹を相手に計145球を打ち込んだ。
 ▽17年2月16日 那覇キャンプ第1クール最終日。全体練習後の特守で、井端内野守備走塁コーチとともにバットを握り、阿部、村田、坂本勇の主力3人に約1時間、全347球の乱れ打ち。15年の秋季キャンプで、投手陣にノックして以来のサプライズだった。
 ▽同2月27日 キャンプ2度目のノックを行い、サブグラウンドで長野、重信、岡本に1時間2分。井端内野守備走塁コーチと合計462球を打ち込んだ。
 ▽同3月29日 31日の開幕戦・中日戦(東京D)に向けた全体練習のシートノックで自らバットを握り、ノッカー役を担当。外野から内野、最後はキャッチャーフライも行うなど12分間、計92球の熱血ノックを行った。

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