【巨人】野上、150キロの壁超える…G移籍で虎党・義父がオレンジに染まる

スポーツ報知
球速150キロを目標の一つに挙げる野上

 西武からFAで巨人入りした野上亮磨投手(30)は先発ローテ入りし、2ケタ勝利を目標に掲げている。新加入右腕は平均球速が年々上昇。更なる進化を目指し自身初の150キロ到達を誓った。また、熱狂的な阪神ファンで知られる妻で元「モーニング娘。」の石川梨華(33)の父親が巨人ファンになりつつあることまで明かした。(取材・構成=玉寄 穂波)

 春季キャンプは24日から最終クールを迎える。巨人・野上の開幕ローテに向けた戦いがいよいよ幕を開けた。

 「プレッシャーはどこにいても一緒だと思う。結局、どれだけ自分が勝ちたいかじゃないかなと。1年間先発ローテを守ることが一番大切」

 先発ローテ当確はエース・菅野と田口のみ。山口俊、吉川光、ヤングマンらとの先発争いに勝つ確固たる自信がある。平均球速が16年までの139キロから昨年は141キロと年々、上昇。昨年、パ・リーグの規定投球回以上の13投手では、最も少ない24与四球と安定した制球力に加え、球速が増したことで球質の違う直球を使い分けられている。

 「今まで地道にやったトレーニングが成果となって出てきた。試合では力を抜いたり、入れたりして投げている。投げ方は周りから見たら一緒の動作だけど、打者の感じ方は違うと思う。1軍の投手は『ここはストライク取れるから取りに行こう』『ここは危ないから力を入れよう』っていうのはあると思うし、うまく使っていくことを心掛けている」

 平均球速とともに自己最速も更新している。昨年は149キロをマークしたが、今年は150キロが目標だ。

 「31歳で壁を越えたい。1年ずつ上がって、去年149キロ出た。プロに入った時は140キロぐらい。12年、13年で147キロ出て。西武時代はずっと岸さん(現楽天)、帆足さん(元ソフトバンク)と3人で球速を勝負してた。お前の方が遅いとか言って。(東京Dで)150キロ出したい。速いからいいってものではないけど。いかに投手と打者の距離、18・44メートルを打者に短く感じさせるかですから」

 憧れの存在だった岸は16年オフにFAで楽天に移籍。自身が昨オフにFAする際、岸からこれまでの普通が普通じゃないと教えられた。だが、そこは自分を貫き、西武時代から恒例だったキャンプでの投げ込みを継続させる決意だ。

 「本気で疲れさせようって。昔、牧田さん(現パドレス)が西武1年目の時(11年)に200球ぐらい投げてて。もう意地の張り合いですよね。どっちが先にブルペン降りるかって。結局コーチに止められた。それから始まった」

 結果、その年は2軍で最多勝(9勝)を獲得した。西武では周りが当たり前にやっていたことだが、挑戦すると、新たな感覚をつかめた。

 「次の年(12年)からローテに入るようになって、自分の中でしきたりになった。ある程度の球数になると、制球がバッラバラになる。そして200球超えたら覚醒しだす」

投げ込み覚醒理想フォーム 200球頃になると、疲れが全身を襲ってくる。同時に、無駄な力が抜けて力みのない投球フォームになるという。

 「軽く投げただけでミットに威力ある球がボンって行く。そのふとした覚醒が常に欲しい。岸さんや涌井さん(現ロッテ)などもみんな投げ込みをする。限界を超えた時にふと力をどこで入れるかが分かる時がある。その感覚はそこいかないと分からない」

 周囲も徐々に巨人色に染まる。妻・梨華さん一族は阪神ファン。だが、義父・真(まこと)さんは最近スポーツ報知を購読し始めた。

 「きっかけはテレビ欄が欲しかったと。今まで雑誌を買ってたけどたまってしまう。じゃあ新聞を取ろうってなって、報知だったらジャイアンツ情報載ってるからって」

 FA移籍ということもあり、以前より大きく報道されることが多くなった。

 「昨オフに開いた自分の結婚式の立食パーティーで(義父が)オレンジのジャケットを着てきた。まじって(笑い)。ジャイアンツカラーじゃんって。純粋な阪神ファンなのに。歴史を変えました(笑い)」

 昨季は自身最多タイの11勝を挙げた。春には待望の第1子が生まれる。韓国・KIAとの練習試合では2回6安打6失点(自責0)だが、首脳陣の期待は変わらない。

 「自分は勝負どころで弱いところがある。完璧は無理だし、(菅野)智之みたいになれって言われたら無理。智之は涌井さんに似て、しっかり自分の意見を言って引っ張ってる。(年下だけど)すごく話を聞いてる。力を入れる時にどこを意識するかとか。そういう周りの意見も取り入れて、とにかく結果を出したい」

 ◆野上 亮磨(のがみ・りょうま)1987年6月15日、福岡県生まれ。30歳。2005年に神村学園でセンバツ準V。08年、日産自動車からドラフト2位で西武入団。昨季は1年間先発ローテを守り、自己最多タイの11勝(10敗)、防御率3・63の成績でリーグ2位に貢献。177センチ、74キロ。右投右打。年俸1億5000万円。

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