【巨人】まるで由伸! ドラ3・大城がプロ1号 ライナーでぶちこむ豪快打撃

スポーツ報知
8回2死、代打で右越え本塁打を放った大城。現役時代の高橋監督(左)とうり二つの打撃フォームだ(合成写真)

◆オープン戦 巨人8―1ヤクルト(4日・東京ドーム)

 巨人のドラフト3位・大城が強烈な一発で開幕1軍へ猛アピールした。NTT西日本出身の強打の捕手はヤクルト戦の8回2死、代打で育成右腕の田川から右翼席へとライナーでぶち込む“プロ1号”。現役時代の由伸監督を思わせるような強い弾道で、首脳陣の評価を急上昇させた。3日の同戦では二塁打を含む2打数2安打2得点の鮮烈デビューを飾ったばかり。正捕手・小林が侍ジャパン合流で不在の間、ルーキーが東京Dに新風を吹かせた。

 スイングの速さ、打球音、弾道、そしてバットの放り投げ方も、スラッガーそのものだった。大城がかっ飛ばした強烈なライナーは、右翼席中段へ一直線で飛び込んだ。「(手応え?)はい、ありました。(3ボールから直球狙い?)そういう系が来るんだろうなと考えていました」。6点リードの8回2死、カウント3ボール0ストライクからの4球目。育成右腕・田川の真ん中直球を捉え、“プロ1号”をたたき込んだ。

 打った本人は照れくさそうだったが、高橋監督は喜びと驚きを隠さなかった。「昨日(3日)もそうだったけど、今日なんか3ボールから思い切っていったところもよかったし、それを一発で仕留めるというのはたいしたものだよね。しかも、素晴らしい打球だった」。侍ジャパンに選出された小林の代役として2日の全体練習から1軍に合流。3日のヤクルト戦(東京D)では途中出場で左翼フェンス直撃の二塁打を放つなど2打数2安打。2日間のわずか3打席で、完璧な自己紹介をやってのけた。

 並外れたパワーは、故郷・沖縄で培われた。幼少期からの大好物は、祖母・笑子(えみこ)さんが作る沖縄ソバ。今でも帰省前にわざわざ連絡を入れ、準備しておいてもらうほどだという。そして、南国の郷土料理によって作り上げられた立派な肉体は、自宅駐車場に特設された打撃練習場でソフトボールを打ち込むことで日々、磨き上げられていった。大城は飛距離について「先輩たちのほうが飛んでますよ」と笑いながら謙遜するが、試合前のフリー打撃では、スイング数の約半分がサク越えという怪力ぶりを見せつけている。

 東京Dの3万人近い観衆に驚きつつ、ひるむ様子は全くない。「(東海大相模時代に)甲子園決勝の舞台を経験できたのが大きい」と、エリートならではの経験も生きている。1軍の捕手は小林のほか、打力に優れる宇佐見らライバルは多いが、大城は一塁や外野もこなせるのが強みだ。「ずっと(1軍に)いられるように、しがみついてやっていきたいです」。若手の台頭が待たれる由伸巨人に、新たなスター候補が誕生した。(尾形 圭亮)

 ◆大城 卓三(おおしろ・たくみ)

 ★生まれとサイズ 1993年2月11日、沖縄・那覇市生まれ。25歳。187センチ、89キロ。右投左打。

 ★球歴 首里中ではヤングリーグ・SOLA沖縄に所属。東海大相模に進み、3年夏に甲子園準V。東海大では4年時の全日本大学選手権で優勝し、首位打者とMVPを獲得。NTT西日本を経て、17年ドラフト3位で巨人入団。

 ★エリート兄弟 2歳年上の長男・昌士は社会人野球の西部ガスでプレー。トヨタ自動車に所属する双子の兄・建二とは小2から東海大まで15年間チームメートだった。

 ★目ヂカラNO1 瞬間視力など8項目の測定を行う視覚能力検査(ビジョントレーニング)では、今季入団の新人選手でトップの成績(数値非公表)。

 ★帝王学 東海大相模時代には、巨人前監督・原辰徳氏の父・原貢氏から「センター返し」の重要性をたたき込まれて育った。

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