【巨人】沢村が帰ってきた!1年ぶり1軍マウンドで最速153キロ「いい緊張感でした」

スポーツ報知
7回からマウンドに上がった沢村はMAX153キロをマークした(カメラ・中島 傑)

◆オープン戦 巨人8―1ヤクルト(4日・東京ドーム)

 巨人・沢村が力強い姿で帰ってきた。ヤクルトとのオープン戦(東京D)に7回から登板。最速153キロで1イニング打者3人無失点と快投した。全15球中13球が直球、うち12球が150キロ超え。昨年は3月4日のオープン戦・日本ハム戦(札幌D)で危険球退場以来、右肩痛で1軍登板なしに終わったが、ちょうど1年ぶりとなる1軍マウンドで完全復活をアピール。勝利の方程式入りが見えてきた。

 ファンの温かい拍手が、緊張をほぐしてくれたのかもしれない。7回、沢村の名前がコールされると、本拠地は大歓声に包まれた。様々な感情を胸にマウンドに上がると、思ったよりも自然体の自分がいた。「ちょうど1年ぶりで、深くこみ上げてくるものがあった。ガクガクに緊張するかなと思いましたが、全然普通の、いい緊張感でした」。ギアをマックスに上げ、完全復活ショーが幕を開けた。

 先頭・畠山への初球、152キロで場内の空気を変えた。全5球直球で右飛に抑えると、続く山崎は内角153キロで空振り三振。中村も直球で押して遊ゴロに打ち取った。全15球中12球が150キロ超えで、圧巻の3人斬りだ。「1年ぶりで、力むな、と思っても無理なので、今日は力み倒していこうと」。力を入れる中で、制球が安定したことも大きな収穫だった。

 16年にセーブ王を獲得したが、昨年3月4日の日本ハム戦で1球危険球退場。以来、右肩痛のため1軍登板なしに終わった。長期のリハビリ。「過去を振り返っても仕方ない。後輩は自分の姿を見ているので」と弱音や愚痴を絶対に吐かないと決め、毎朝7時前後にG球場入りした。早朝から体のケアやトレーニングを行い若手に背中で示した。

 昨秋に右肩は完治していたが、今キャンプは2軍。リハビリ以外では、プロで初めて2月の1か月をファームで過ごした。「ただやみくもに投げるだけじゃダメ。考えてやっていかないと」と柔軟な発想で、力任せではなく、効率良く力を球に伝える体の使い方を研究。小谷投手コーチの指導も受け「力感を出さず、キャッチボールのような感覚で速く、強い球を投げる」という理想のフォームを確立した。本来の力強い球威と制球力も向上し、進化した。

 この日の好投で、今後も1軍帯同が決まった。現状、「勝利の方程式」はマシソンとカミネロだけ。ここに沢村が入り、層が厚くなる。「マシソン、カミネロの2人は決まっている―というのは新聞報道を見て知っています。その前に入れるようにアピールしていきたい」。さらにこう、続けた。

 「恩返しというのは優勝した中で成績を残して初めて言えることですが、今まで携わってくださった方に感謝しています。今後も皆様にサポートしていただきながら前に進みたいです」

 前向きに苦悩を乗り越えてきた剛腕が、完全体で帰ってきた。(片岡 優帆)

 ◆巨人のリリーフ事情 現状、勝ちパターンとして首脳陣が計算しているのは外国人枠の使い方を抜きにして、マシソンとカミネロの2人だけ。田原、篠原、育成の高木京がアピールしているが、池田、西村、山口鉄がコンディション不良のため3軍調整中で、戸根もファームに降格。「7回の男」が不在で、ブルペン整備が課題になっている。ここに実績も経験も十分の沢村が加わることで、厚みが増す。

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