上原浩治が極秘帰国 巨人からのラブコール「うれしい」

スポーツ報知
カブスからFAとなっている上原は、日本球界復帰へ傾いている現在の心境を明かした(カメラ・西村 茂展)

 上原、激白―。カブスからFAとなっている上原浩治投手(42)が5日、成田空港着の航空機で、米国から極秘帰国した。当地で代理人や家族と今後について話し合いを重ね、現在の心境は日本球界復帰が最優先であることを明言。すでに日本球団から打診が届いていることも明かし「一日でも早く」決断を下す考えを明かした。メジャー断念の場合に調査に乗り出す方針を固めていた古巣・巨人が中心と見られる争奪戦は、一気に佳境を迎える。

 目には力強さが宿っていた。上原が覚悟を決め、再び日本に降り立った。この日、成田空港着の航空機で滞在先のボルティモアから極秘で帰国。ラフな私服姿に、体の重さなどは感じない。米国では家族、代理人と、今後について話し合いを重ねてきた。その結論とは―。

 「まだ(代理人はメジャーと)話し合いはずっと続けるということでしたけど、僕の方があまり長くまで待てないということを伝えています。(日本復帰が最優先?)そうですね、はい」

 メジャーはこのオフ、異常事態とも言えるFA市場の停滞に見舞われており、トップ級の選手ですら未所属のまま。そんな数奇な運命に翻弄される形となった一方で、2月下旬にNPB復帰も視野に入れ始めた時点から、水面下で国内の球団から話が届いていることを明かした。

 「(日本からの誘いは)はい、あります。今は本当にアメリカの方がなかなかいい話がないので。こっち(日本)の方で手を挙げてくれるところがありますから。そこでまた話をして早く決めたいなと思います」

 すでに複数球団が興味を持っている模様だが、その中心が古巣・巨人であることは間違いない。常に動向をチェックしていたという鹿取GMは2月28日に、本人がメジャーでのプレー続行を断念した場合に調査に乗り出す方針を明かした。石井球団社長も、2日に仮定の話と前置きした上で「もし巨人でやるという話があるならば、すごく春っぽい明るい話。野球ファンの人たちも喜んでもらえるのかなと感じている」と“公開ラブコール”を送っている。現時点で大きな動きはないものの、上原は古巣の姿勢を好意的に受け止めている。

 「そういう話はうれしいですね」

 セ・パ同時開幕となる30日まで時間は迫っている。決断の時期はそう遠くない。

 「一日でも早く、ですね。それはもう自分を必要としてくれているってことで手を挙げてくれているわけですから。そこは前向きに」

 2月は主に都内で、トレーニングを重ねてきた。遠投の距離やブルペンでの投球練習の球数も順調に増やしており、状態にも自信を持っている。迷いも不安もない。開幕から1年間戦い抜く。上原にとって、プロ野球人生史上最も長かった“オフ”が、最終段階を迎えた。(西村 茂展)

 ◆NPB復帰せず引退は4投手だけ メジャーリーグのマウンドに上がった日本人投手は昨年まで40人。昨年プレーしていた6人を除いた34人中、NPBでプレーせずユニホームを脱いだのは野茂英雄、長谷川滋利、大塚晶文(独立リーグではプレー)、桑田真澄の4人(野手では松井秀喜のみ)しかいない。65年に4勝1敗8セーブの村上雅則(南海からの留学だったために帰国)、1年契約を残したまま帰国した04年の佐々木主浩、ヤンキースの残留オファーを蹴った15年黒田博樹の3人のケースは超異例。他の投手は契約切れなどで帰国した。上原が49試合登板でNPBに復帰したら、帰国前年登板数としては村上の45試合を抜き最も多くなる。

 ◆上原 浩治(うえはら・こうじ)1975年4月3日、大阪・寝屋川市生まれ。42歳。東海大仰星高から1浪して大体大。98年ドラフト1位で巨人入団し、99年20勝で新人王。最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、沢村賞を各2度受賞。五輪は04年アテネ、08年北京に出場。06年WBCでは世界一。09年にFAでオリオールズ入り。13年Rソックスで優勝決定シリーズで日本人選手初のMVPに輝き世界一に貢献。188センチ、88キロ。右投右打。既婚。

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