【巨人】上原、チーム合流 ブルペンで39球に込めた意味は… 

スポーツ報知
2軍練習に合流した上原は、室内練習場のブルペンで調整した(カメラ・生澤 英里香)

 カブスからFAとなり、巨人へと10年ぶりに復帰した上原浩治投手(42)が10日、G球場で行われた2軍の練習に合流。“巨人・上原”として再始動した。9日の入団会見から一夜明け、早速ブルペンでは39球を投げ、圧巻の制球力を披露。30日の今季開幕戦・阪神戦(東京D)に向けて、状態の良さを見せつけた。11日には打撃投手を務め、今季初めて打者と対戦。「3・30」へ着実に牙を研いでいく。

 吹き抜ける風が心地よい。慣れ親しんだグラウンドで、上原が新たな一歩を踏み出した。「懐かしさはこの球場に来た時点で、すごく感じています」。午前10時。背番号11が入ったユニホームを身にまとい、G球場の室内ブルペンに入った。

 まるで速射砲だ。他の投手が1球投げる間、上原は速いテンポで2球。わずか7分。スプリットやスライダーを織り交ぜ、構えたミットにズバリ収まる制球力は健在だ。過去、上原はブルペンでの球数に意味を持たせてきた。この日は39球。復帰を祝福するファンへ「サンキュー」の思いを込めたのかもしれない。

 久々に球を受けた柳(リュ)ブルペン捕手は、衰え知らずの投球を絶賛した。「直球もフォークも10年前と変わらない。コントロールミスが全くない。球の回転と制球は抜群。(体が)ガッと来るから威圧感もある。強く投げたら打者はもっと感じるはず」。上原の現在形を18・44メートルの距離から体感し、語気を強めた。

 だが上原は30日の開幕を現実的に捉え、謙虚に言った。「気持ちの高ぶりよりも、時間があまりないことの方が気になる」。これまではMLB球で練習していたため、NPB球を再び手に取ったのはここ数日。適応を課題に挙げ「後は打者が立ってどういう感じになるか。(ボールは)戸惑いがある。『これだ』という感覚がない。まずはそこをきちんとクリアしていきたい」と表情を引き締めた。

 11日は2軍の打者相手にフリー打撃に登板予定。少しずつNPB球や対打者の感覚を磨いていく。鹿取GMは20日以降の1軍合流を見据えており、上原も「開幕で戦力? それはそう。みんなあると思う」としっかり調整を重ねる決意だ。

 既にチームの一員だ。午前7時45分、G球場に到着すると、入り口で「おはようございます!」と第一声を大きく発した。室内では選手、首脳陣、球団スタッフが集まった円陣の前で「一生懸命やりたいと思います。いい見本になるか分かりませんが、僕の経験の中で勉強になるようなことがあれば話しに来てください。これから仲良く、よろしくお願いします」とあいさつ。拍手が響き渡った。

 慣れないウォーミングアップでは5年間ともにプレーした内海にやり方を教えてもらった。左腕も「気持ちよく、野球をやってもらえるようなスタートを切っていただきたい」と先輩をエスコート。ロッカーは06年WBCで一緒だった杉内の隣だ。ウェート室では若手が驚くほどの運動量をこなした。

 初日を振り返り「まだよそもんという感じ」と報道陣を笑わせつつ、「早く1軍に合流したい。そうできるような体作りをしたい」とやる気は人一倍だ。まずは「3・30」に照準を絞り、42歳の挑戦が幕を開けた。(玉寄 穂波)

 ◆G上原がブルペンでの球数に込めた“思い”

 ▼04年 宮崎キャンプの初日の2月1日、仲の良い松井稼頭央(現西武)のメッツ入りに「頑張ってもらいたいから」とメッツでの背番号に合わせて25球。

 ▼05年 宮崎キャンプ中の2月8日、翌9日に行われるサッカーW杯アジア最終予選・北朝鮮戦に臨む日本代表へとエールを送る意味で209球を投球。「大事な試合だしね。頑張ってほしいということで」

 ▼06年 宮崎キャンプ初日には3月3日のWBC1次リーグ初戦・中国戦に先発する覚悟を示し、33球。2月5日には「今年は1にこだわりたい」と個人タイトルやリーグV日本シリーズ制覇。さらにWBCでの世界一の意味を込め、111球を投じた。

巨人

×