【巨人】上原、初フリー登板で亀井度肝の41球「43歳の球じゃない」

スポーツ報知
スピンの利いたボールを投げ込む上原

 巨人に10年ぶりに復帰した上原浩治投手(42)が11日、G球場でフリー打撃に登板した。オフの自主トレはブルペン投球のみだったため、打者相手に登板するのは今年初だ。数日しか練習していないNPB球で亀井、石川、宇佐見、北村の2軍打者相手に41球を投げ安打性は7。08年までともにプレーした亀井は「(4月3日に迎える)43歳の球じゃない」と驚いた。24球の直球のうちボール球は4球のみ。スプリット、スライダーも低めの狙ったところにズバリ。90%の的中率で精密機械ぶりを見せつけた。

 周囲の反響をよそに、上原は冷静に堂々とテンポ良く投げ込んだ。手元を離れたスプリットは、打席で待つ亀井の手元で消えた。それまで直球だけだったが15球目で“宝刀”を解禁。日本でフォークと呼んだ球種を、メジャーでさらに制球力や落差などを進化させてスプリットとして9年間磨き続けた。球種を予告していたが、背番号9は「おぉ!」と驚いた。制球と精度は想像をはるかに超えていた。

 上原「帰ってきてまだ1週間もたっていない中でここまで来ている。良い感じ」

 直球、スプリット、スライダーを織り交ぜ計41球。直球24球のうちボール球はわずか4球のみ。スプリット11球、スライダー6球のうち11球はボールだったが、ストライクゾーンに入ってきたと思えば、捕手が構えた低めを狙ったボール球。約90%の高確率で抜群の制球力を見せた。

 自主トレ期間中は滑りやすいとされるMLB球を使ってブルペンで投げ込み。NPB球を使って、米国より軟らかい日本のマウンドで打者に対して投げるのは今年初だ。「向こうで9年間やっていたのがまだ体から抜けていない。早く慣れないと。マウンドがまだ軟らかい。(球が滑らないので)ワンバウンドする球があったが、それをするかしないかくらいに落とせたらベスト。そんなに悪くはなかった」と手応え。対戦した打者や、見守ったコーチからは絶賛の声が相次いだ。

 亀井「43歳の球じゃない。すごいスピン。球種が分からなかったら打てない」

 宇佐見「球種を言われなければスプリットは振っていた。分かりにくいし変化量が多い。すごく制球が良くて四隅にきている感じ」

 石川「制球がすごい。スプリットの腕の振りが直球と一緒」

 北村「制球、キレがすごかった。落ちる球は実戦になると全部、空振りしていたと思う」

 三沢2軍投手コーチ「テンポが良く制球力がいいのは昔から。これだけ制球できる投手はなかなかいない」

20日にも1軍合流へ 来週、2度、打撃投手として登板し、順調なら2軍戦など実戦登板も視野に入れる。状態を見ながら20日から1軍に合流するプランで「すぐにでも合流したい。そこまでの調整はいってないので20日前後にいけたらなと思う」と先を見据えた。

 マウンドに上がる時は、日本人初のMVPに輝いた13年レッドソックス在籍時の入場曲で沢村も以前使用していた「Sandstorm」(Darude)が流れた。「やっと野球しているなという感じでした。気持ち良かったです」。汗を拭いながら、始まりの41球をそう、振り返った。(玉寄 穂波)

 ◆被災地に夢を変わらぬ思い

 上原が被災地への思いを明かした。これまで13年の岩手・宮古を始め福島・南相馬、宮城・石巻など、被害の大きかった東北でオフに野球教室を開いてきた。「僕が(日本球界に)帰ってきて身近に感じてくれたらすごくうれしい。どこかの球場にその子どもたちが見に来てくれたらうれしい」と夢を与え続ける決意を示した。

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