【巨人】由伸監督、打撃不振の小林に“ポン打”直伝

スポーツ報知
自らお手本を見せながら、小林(左)に打撃指導をする高橋監督(カメラ・中島 傑)

 巨人の小林誠司捕手(28)が12日、「由伸流」打撃フォームを伝授された。チームは13日のソフトバンク戦(大分)に向けて、神戸から大分へ移動し、現地で全体練習。オープン戦で打撃不調な小林が、高橋監督から体重移動の方法などを助言された。チームはオープン戦8試合を消化してリーグ3位の打率2割5分5厘。まずまずの成果が出ているだけに、開幕スタメンが有力な小林の打撃も上向いてほしいところだ。

 額に汗を浮かべながら、小林は直立不動で聞き入った。一塁ベンチ前でロングティー打撃を行っていると、高橋監督が身ぶり手ぶりでアドバイスしてくれた。「軸足にしっかり体重を乗せるやり方を教わりました」。11日の阪神戦(甲子園)で初安打を放ったが、オープン戦は打率0割8分3厘。高橋監督は「急には良くなると思ってないよ」と言いながらも「ちょっと何試合か見て、僕自身が感じたものがあったので」と意図を明かした。

 キャンプ中、松井秀喜臨時コーチの助言をもとに、軸足を強く意識した打撃フォームにチャレンジ。徐々に右足に体重を乗せていく練習をしてきた。しかし、実戦に入ると差し込まれるシーンが頻発。そこで指揮官が、現役時代のようにシンクロ(足踏み)しながら軸足のかかとで地面を「ポン」とたたき、体重を乗せてから打ちにいく“アレンジ”を小林に加えた。

 もうひと息のところまで来ている。吉村打撃総合コーチは「内容のいい凡打もある。『打ちたい、打ちたい』となるのは分かるけれど(前に突っ込まず)下半身を使って我慢できるか」と指摘。二岡打撃コーチも「形は悪くない。振る力も付いてきている。あとは『このコースは、こうすれば安打になる』という自分の中のヒットゾーンをしっかりつかむこと」と、課題を挙げた。

 昨年3月の第4回WBCでは1次ラウンドの中国戦で2ランを放つなどチームトップの打率4割5分。本人は「たまたまです。開き直っていけたのが結果につながっただけ」と謙遜していたが、あれだけの大舞台、まぐれだけで結果を残せるはずがない。今季はゲレーロが加入。秋季キャンプからの猛特訓で若手の打力も向上した。攻撃力アップの兆しは見えつつあるからこそ、小林の打撃に磨きがかかれば、打線の威力はさらに増す。

 小林の開幕スタメンマスクはほぼ当確。守備力では群を抜く安定感がある。とはいえ、2番手以下の捕手となりそうな宇佐見、大城、田中貴らはみな打力に一定の評価がある。打率が1分でも1厘でもアップすれば、ゲームセットまで小林のままでいける―。この日の臨時レッスンは、そんな指揮官の期待の表れだろう。「この世界は結果が全て。打てなければ代えられてしまう」と話す小林も最後までマスクをかぶりたいはずだ。責任感と危機感を胸に、扇の要を守ろうと奮闘している。(尾形 圭亮)

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