【巨人】「メディアがいなければ由伸と呼ぶかも」…上原に聞く

スポーツ報知
ブルペンで投げ込んだ上原

 カブスからFAとなり、巨人に10年ぶりに復帰した上原浩治投手(42)が16日、スポーツ報知のインタビューに応じた。ルーキー時代の99年に流行語大賞になった「雑草魂」の精神は、プロ20年目の今でも不変と強調。飽くなき向上心を口にし「24時間野球漬け」の生活ぶりを明かした。大切にしている言葉に「我慢」も掲げ、同学年の由伸監督の胴上げへ、全力を尽くす決意を示した。(取材・構成=片岡 優帆、玉寄 穂波)

 由伸監督は同学年、誕生日も4月3日で同じと、仲が良い。メジャー移籍後も連絡を取り合ってきた。

 「人前では『監督』と呼びますけど、メディアがいなければ『由伸』と呼ぶかもしれないですね」

 監督と選手という間柄になるとは夢にも思わなかったが、巨人移籍を決断した最大の理由は由伸監督ではなく「野球をやりたい」という気持ちだと強調した。

 「由伸という存在で決めたわけではないですよ。たまたま今の監督が由伸であって、原さんが監督でもジャイアンツに決めていたと思う。野球をやりたいという気持ちはもちろん出たし、まさかここまでアメリカの(FA選手の)契約が長引くとは思っていなかったので。もし待っていたらまだ決まっていないと思う」

 移籍先が決まらない中、熱心に誘ってくれた古巣への思いは強い。9日の入団会見に同席した鹿取GMには「球団のレジェンドとして経験を伝えてほしい。全てのことを教えてもらいたい」と期待を寄せられた。

 「レジェンドではないと思いますよ。(同様に広島に復帰した)黒田さんは200勝という記録も作りましたが、僕は何一つ何も残していないので。ただ、鹿取さんがああいうふうに言ってくれたということは、僕もこれからの生活に対して責任を持って行動していかないといけないなと」

 球団は近年、若手の底上げが課題とされ、坂本勇や菅野が先頭に立って引っ張っている。上原が考える若手に必要な心構えは、至ってシンプルだった。

 「生活の中心を野球にするべきですよね。夜、ご飯を食べに行っても、次の日に練習があるというのを頭の片隅に常に入れておくべき。だったらそんなに深酒もできないだろうし。常に野球を頭の中に入れて生活するべきだと思う。グラウンドでは周りの人を見てライバルを作るなり、この人のようになりたいと考えて取り組めばいいと思う」

 ストイックに打ち込む上原の姿は、若手に最高の教材になる。トレーニングに関する考え方は、メジャー移籍前と変わっていない。

 「今は本当にいろんなトレーニングがありますが、結局やることは一緒だと思っている。走ることが基本だし、キャッチボールすることが基本。そういう意味ではジャイアンツにいた時から変わっていない」

 メジャーでプレーした9年間は「完全に向こう(で終わる)と決めていた」と日本の試合の映像を一度も見たことがないという。

 「だから日本野球のことが全く分からない。ただWBCを見て、すごくレベルが高くなっているのは確かだなと。広島は今すごいというのは聞いている。僕らの時から練習量はナンバーワンのチームだったし、そういうのが実って今になっているのかなと。練習はうそをつかない。やっぱり積み重ねだと思います」

 この日はG球場でブルペン入り。ウェート場で黙々と汗を流す姿を見て、練習量に驚く後輩選手もいる。少しでも野球がうまくなりたい。純粋な気持ちを胸に巨人で燃え尽きる覚悟だ。

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