【巨人】上原、3426日ぶり東京Dただいま「ウエハラコール」に0封で応え「ホッとした」

スポーツ報知
マウンドに上がった上原は、感慨深げにロージンを手にした

◆オープン戦 巨人1―3日本ハム(20日・東京ドーム)

 米メジャー・カブスからFAになり巨人に復帰した上原が、10年ぶりとなる東京Dの実戦マウンドに帰ってきた。レジェンドの雄姿見たさに集まった4万6297人の「おかえりコール」を浴び、1点ビハインドの7回に3番手で登板。1回を打者4人、無安打無失点で復帰初登板を飾った。連勝は5でストップしたが、吉川尚が初回に待望のオープン戦1号ソロ。期待される二塁レギュラーの座へ向け、大きな一発でアピールした。

 緊張、喜び、安堵(あんど)。様々な感情が入り交じっていただろう。ベンチでナインとハイタッチを交わした上原。10年ぶりに上がったホームのマウンドでの22球を「ホッとした部分が大きかった」と振り返ると、大粒の汗を気持ちよさそうに拭った。

 4万6297人が待っていた。「Welcome Back(おかえりなさい)」。08年11月1日の日本シリーズ第1戦以来、3426日ぶりの東京D。上原の名前がコールされると、ドーム全体が揺れた。背番号11が勢いよくベンチから飛び出すと、割れんばかりの拍手と歓声が響き渡った。

 躍動感、テンポの良さは10年前と何も変わらなかった。先頭の中島を外角いっぱいの直球で見逃し三振。西川には外へ流れながら落ちる球がわずかに外れ四球を与えたが、松本は直球で押して右飛、近藤も直球で中飛に料理した。「1イニングを投げられて良かった」と不安があったことも口にした42歳。スピードガンの不調からか110キロ台の直球が表示され、コーチや阿部からは「球遅っ」と愛あるツッコミも飛んだ。

 10年ぶりのNPB球と、メジャーよりも土が軟らかいマウンドへの対応に苦戦している。メジャー時代は各球場に合わせて一定ではなかったという歩幅を、広めに6歩半で試しているという。「マウンドが投げにくい。真っすぐは全部高めに抜けている。フワフワした状態」と振り返ったが、由伸監督は「けん制とかも速いし、うまい。制球も球の違いがという話をしていたけど、思ったより操れていた」と感服。沢村、マシソン、カミネロとともに、勝利の方程式の一員として「そういうふうに期待している」と信頼を寄せる。

 “復帰戦”を見ようと、3階席から通路まで観衆が埋め尽くした。来場者数は、16年3月20日の西武戦(東京D)で記録した4万660人を上回り、オープン戦で実数発表が始まった05年(巨人は06年)からの最多を更新。当日券も完売の盛況ぶりに「かなりの声援を頂いてうれしかった。シーズン中にそういう声援をもらえるように頑張りたいです」と感慨深げだ。

 この日は「もう一度、プレーする姿を見せたい」と、日本球界復帰を決意する決め手となった愛息・一真くんの12歳の誕生日。父の巨人でのユニホーム姿は全く記憶にないという。シーズン中は米国と日本で離れて暮らすが、挑戦し続ける姿を我が子の記憶に刻みたいという思いは強い。

 30日の開幕まで残り10日を切った。次回の登板は23日からの楽天3連戦(東京D)のうち2試合での登板を志願した。「打者も遅いと感じているはず。スピードガンより体感スピードをもっと上げられたら。開幕まで時間がない」。レジェンドの照準はまっすぐ、開幕へと向いている。(玉寄 穂波)

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