【巨人】吉川尚、OP戦10安打目で“プロ1号”

スポーツ報知
1回1死、右越えにオープン戦1号ソロを放った吉川尚。ベンチのナインも身を乗り出して打球の行方を確認した(カメラ・泉 貫太)

◆オープン戦 巨人1―3日本ハム(20日・東京ドーム)

 大歓声に後押しされた打球は、右翼席最前列に届いた。初めて味わう感覚に、ダイヤモンドを一周する吉川尚は少しだけ照れくさそうな表情を浮かべた。初回1死。先発・高梨の初球の直球を豪快に振り抜き、“プロ1号”を放った。「最近打てていなかったので、初球からいこうと決めていた。(本塁打は)思い切っていった結果です」。オープン戦10安打目で生まれた初の長打。秘められたパワーも見せつけた。

 昨年8月24日のイースタン・ヤクルト戦(東京D)で“本拠地初本塁打”を放ってはいたが、この日は実数発表になった05年以降ではオープン戦で最多の4万6297人の観客が集まった一戦。「(雰囲気は)全然違いました」。大観衆の中での一発は格別だった。

 さらに3回には2死から左前打を放つと、3番・坂本勇の2球目ですかさず二盗を決めた。守備でも初回2死満塁から二塁の頭上を越えそうなライナー性の打球をジャンピングキャッチ。この日は攻守で躍動感あふれるプレーを見せた。

坂本に神髄学ぶ “最高の教材”から1球で勝負を決める重要性を学んだ。1月に主将・坂本勇から誘われ実現した合同自主トレでは、16年に首位打者を獲得するなど球界を代表するバットマンの打撃練習に衝撃を受けた。「勇人さんとは1球で仕留めるという部分でものすごくレベルの差を感じた。そこは意識してやっていかないといけない」。春季キャンプでは1日1500スイング近くバットを振り込み、オープン戦に入ってからも早出でバットを振るなど惜しみない努力を続けてきた結果が、少しずつ実を結ぼうとしている。

 ここまでオープン戦は全14試合でスタメン出場。ここ4試合は10打数連続無安打を経験するなど、計11打数1安打と“プチスランプ”に陥っていたが、この日で一気に払拭した。「オープン戦は僕にとっては勝負だし、一番大事な時期。必死になって一日一日やっていきたい」。開幕まで残り4試合。正二塁手としての期待を一身に背負う背番号0が、「3・30」に最高の状態を仕上げていく。(後藤 亮太)

 ◆ちょっといい話

 2月の春季キャンプを乗り越えたことが、吉川尚の自信につながっている。約1か月、連日のように早出から居残りまで1日8時間以上の猛練習の日々を送り、体重も1、2キロ減量してしまった。それでも「去年までなら、あの練習についていけていないと思います」と前向きに捉える。昨シーズン後の秋季練習、台湾で行われたアジアウィンターリーグと野球漬けのオフを過ごしたことも、体力アップにつながっている。

 ドラフト1位で入団した昨年は上半身のコンディション不良で春季キャンプ3軍スタートとなったが、今季はオープン戦からラインアップに欠かせない存在になりつつある。「試合も出させてもらっていますけど、疲れとかは感じていないですよ」。たくましさの増した姿に、今年ブレイクの予感が漂っている。

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