【巨人】吉川尚、不動の「2番・二塁」だ…同点弾、盗塁、無失策

スポーツ報知
6回2死一塁、吉川尚が右越えに同点2ランを放つ(投手・美馬=カメラ・橋   口 真)

◆オープン戦 巨人2―2楽天=9回規定により引き分け=(24日・東京ドーム)

 巨人の2年目・吉川尚が楽天戦で2点を追う6回、同点の2号2ランを放つなど、3安打2打点の活躍でオープン戦初の猛打賞をマークした。この日は16試合連続でスタメン起用されると、初回には内野安打で出塁。すかさず二盗を決めた。さらに4回には中前打と存在感を発揮。打率も3割に乗せた。春季キャンプの強化指定選手に指名されていた16年のドラフト1位。見事に結果を残し、30日の阪神戦(東京D)では「2番・二塁」の開幕スタメンに当確ランプをともした。

 見逃せばボール球。だが、迷いなく振り抜いた。吉川尚の高く打ち上がった打球は、放物線を描きながら右翼席へ吸い込まれた。2点を追う6回2死一塁。美馬の高めのシュートを打ち砕き、オープン戦2号となる同点2ランを放った。「ファウルで粘りながら、自分の決めたコースをイメージしながら打てた。秋から振り込んできたから(打球が)飛ぶようになったかな」と手応えを口にした。

 この打席は2球で2ストライクとされたが、4球ファウルで粘り、最後は本塁打につなげた価値ある一発。この日3安打目でオープン戦初の猛打賞も決めた。

 177センチ、79キロと細身の体にパワーを秘める。岐阜県羽島市の実家の近くでは親戚が「吉川養鶏」という養鶏業を営むことから、吉川家の食卓には小さい頃から親戚から届けられた卵料理が並んでいた。中京学院大時代には体を大きくするために1週間連続で「卵かけご飯」を食べるなど、たんぱく質の多い食事を取ることで力を蓄えてきた。

 「僕のパワーの源です」。高校通算はわずか9本塁打も、1軍の舞台で描いた2本のアーチが、長打力を証明する。由伸監督も「元々去年の秋も、思ったより球は飛ぶなという印象は持ったので」とうなずいた。

 持ち味も発揮した。初回1死から内野安打を放つと、続く坂本勇の打席では6球目でオープン戦4個目の盗塁を決めた。試合後は「若いカウントでしっかりスタートを切れるように意識したい」と話したが、井端内野守備走塁コーチは「美馬のクイックは(球界でも)トップクラス。あれで行けたのは本人の自信になると思う」とたたえた。

 4回無死では中前打を放つなど、チーム4安打中、3安打を記録。同点で迎えた8回2死二塁では陽が申告敬遠で歩かされ、すぐさま打席に立った。松井の前に空振り三振に倒れたが、シーズン開幕を前に貴重な経験を積むこともできた。

 ドラフト1位で入団した昨季は上半身のコンディション不良でキャンプ3軍スタート。しかし、今季はここまでオープン戦全16試合にスタメン出場し、守備でも無失策を継続している。シーズンでも二塁で固定される可能性があるか?との問いに指揮官は「その可能性はある選手だなと思う」と大きな期待を寄せた。

 「今年は1軍スタートというチャンスをもらって、結果にこだわってやってきた。一日一日を無駄にしないようにやっていく」と尚輝。覇権奪回を目指す18年シーズン。長年固定できなかった二塁のポジションは、走攻守で魅力あふれる男に託される。(後藤 亮太)

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