【林家三平のドームすいません】切り札ざんまい巨人軍

スポーツ報知
2月、巨人の沖縄キャンプを訪問し、坂本勇人選手の等身大ボードと一緒にパチリ。左打ちの三平です

 野球のおもしろさの一つに「切り札の存在」があると思います。ゲームの終盤、その卓越した能力で試合の流れをがらりと変えてくれる選手です。「代打の切り札」「代走の切り札」、場合によっては左のワンポイントリリーフなんかも「切り札」とよばれていいかもしれません。

 みなさんとは見解が違うかもしれませんが、私にとって「代打の切り札」といえば、有田修三さんです。私がまだ10代だった1980年代後半、近鉄からトレードで巨人へやって来ました。山倉さんとともに1軍で捕手を務め、時には代打として勝負強さを発揮した印象が残っています。みなさんにとって、記憶に残る「切り札」は誰ですか。

 先日、スポーツ報知の「プロ野球開幕特別号」(タブロイド判32ページ、350円で発売中)の企画で鈴木尚広さんと対談しました。ゲームの終盤、「代走の切り札」として、貴重な1点をもぎとってくれた鈴木さんとは、「最後の最後まで手に汗握って野球が見たい。負けていても『最後にこれが見たい』と思える選手がいてほしい」という意見で一致しました。鈴木さんが現役だったころ、1、2点のビハインドなら「代走・鈴木からの逆転劇があるかもしれない」と期待を膨らませたものです。

 巨人が、昨年と変わったポイントは、まさに「切り札」が増えたことだと思います。上原投手はマウンドに上がっただけで、球場の雰囲気をガラリと変えてくれそうです。そして、しばらくはベンチスタートとなりそうな阿部選手。彼こそ、巨人史に残る「最強の代打の切り札」になるかもしれません。鈴木さんに匹敵するような「代走の切り札」はまだいないようですが、そこまで求めるのはぜいたくというもの。

 いよいよ18年シーズンが開幕。若いころ、後楽園球場で目に焼き付けた「代打・有田」を思い出しつつ、「切り札」たちの熱いドラマを見守りたいと思います。

巨人

×