【巨人】上原、完璧3人斬り!背番号「11」の11球が勝利呼んだ

スポーツ報知
8回2死、高山を二ゴロに抑えてガッツポーズをする上原。復帰登板を3者凡退で飾った(カメラ・矢口 亨)

◆巨人8―4阪神(31日、東京ドーム)

 巨人が0―4から阪神を逆転し、開幕2戦目で18年初勝利。上原が1点差の8回、10年ぶりに日本の公式戦マウンドに立ち、3人斬りの快投で東京Dのファンを沸かせた。

 上原の名前が呼ばれると、拍手と歓声のうねりが東京Dを包み込んだ。誰もが登場を待っていた。三塁側を埋めた阪神ファンまでもがマウンドに視線を注ぐ。1点勝ち越した直後の8回。「1点差はやっぱりしびれますね。感情的なものは試合中に出したらいけない。とにかく0点で抑えようという気持ちでマウンドに上がった」。背番号11の登場が勝利へ導く雰囲気を作り上げた。

 上原ショーが幕を開けた。先頭の大山はスプリットで3球三振。糸原は全球直球で左飛。代打・高山は低めのスプリットで二ゴロ。日本のマウンドに対応するため、3月25日の楽天とのオープン戦(東京D)から修正した重心を下げたかつてのフォームで最速140キロの球威とキレで若虎打線を圧倒した。先発した08年10月5日の中日戦(東京D)以来、10年ぶりの日本の公式戦登板で、08年7月26日ヤクルト戦(東京D)以来の3535日ぶりのホールド。「0点なんで。内容どうこうじゃなくてそれでいい。(スプリットは)まだまだ精度上げていかないと。初戦にしては満点だと思います」

 わずか11球の満点投球。ベンチに戻ると「ほっとしました」。緊張感から解放され、はじけるような笑顔で次々と若手選手らと勢いのあるハイタッチ。メジャー時代からの“恒例行事”で更にチームを盛り上げた。

 試合後のお立ち台でも上原コールは止まらない。東京D全体がスタンディングオベーション。割れんばかりの拍手が送られた。「お久しぶりです!」。上原はオレンジ色に染まった場内を見つめ、懐かしそうにほほ笑んだ。

 常に「勝ち」を口にする。前日3月30日の開幕戦の朝。普段は黒のズボンなどが多いが、珍しく白のズボンをはいた。シャツも白と全身白で決め「勝ち星(白星)やからな」とつぶやいた。開幕前夜の夕食は家族で大きなタイ1匹をみんなでつつき、赤飯を食べた。登板がなくてもチームの勝利をブルペンから願った。

 その執念に誰もが魅了される。常に全力で勝利に向き合ってきたからこそ、現在の大きな声援があり、ドームの雰囲気までも変えてしまう。由伸監督は「東京Dはホームだし、そういったところもあるけど、ぜひビジターでも雰囲気を作ってもらえたらうれしい」と期待を寄せた。

 この日は家族がスタンドから見守った。もう一度投げる姿を息子・一真くん(12)に見せることが上原の日本球界復帰決断の理由の一つ。「公式戦で見せることができて良かったです」。周囲の期待を背負いながら「便利屋でやります。どこでもやります」と強い決意を示した42歳。日米通算100ホールドまであと9つ。どこまでも全力で突き進む。(玉寄 穂波)

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