【巨人】岡本、938日ぶり1号 4打数4安打5打点!

◆巨人8―4阪神(31日、東京ドーム)
最高の感触が全身を貫く。岡本が右拳を握り締めるのと同時に、打球は黄色く染まった左中間席上段に飛び込んだ。「1軍で(本塁打を)打ちたいと思ってずっとやってきた。久しぶりに出たので率直にうれしかった」。1点リードの8回2死一、二塁。藤川の初球フォークを完璧に仕留め、18年チーム初本塁打となる今季1号3ランで試合を決めた。
プロ入り後、本拠地・東京Dでは初めてアーチを描き、1年目にプロ初本塁打を放った15年9月5日のDeNA戦(横浜)以来、938日ぶりに生まれた一発。この日4安打5打点の大暴れに、由伸監督も「期待通りというか、本当に今日はいいバッティングをしてくれたね」とたたえた。
一夜で気持ちを切り替えた。2年連続開幕スタメンを飾った30日の阪神戦(東京D)は4打数無安打でチームも黒星スタート。試合後は「難しい球を打ちにいっていた」と反省した。だからこそ「今日の1打席目が大事でした」。気を引き締めて2回1死から1打席目に立つと、2ボールから藤浪の152キロ直球を振り抜き、今季初安打となる中前打。勢いに火が付いた。
4点を追う3回は2死二、三塁から中前2点打で反撃開始。2点差の6回は先頭で左前打を放ち、プロ初の猛打賞をマーク。するとこの一打から同点に追いつき、7回には小林の勝ち越し打が生まれた。指揮官も「後半、よく選手が粘ってくれたし、本当に岡本がね、最後にいい一発を打ってくれたね」と賛辞を贈った。
地に足をつけて成長を続けてきた。昨季は開幕スタメンも、12試合で打率2割2分7厘、0本塁打で4月21日に2軍降格。「打席の中で行き当たりばったりでした」。理由は明白だった。だが今年は違った。1打席ごとにしっかりと頭の中を整理して打席に立つと、オープン戦では4本塁打、12球団トップの15打点で一塁の定位置を争っていた阿部との競争に打ち勝った。「去年よりも自信を持ってできている」。開幕2戦目で最高の仕事を見せた。
勝負のシーズンを前に、願掛けや験担ぎといったことは一切やらなくなった。開幕前の恒例行事だった神社での必勝祈願を今年は行わず「運は自分で引き寄せていこうと思います」。自分の力を信じ、最高の結果を呼び込んだ。
それでも、試合後は「まだ始まったばかり。油断はしません。気を引き締めてやると決めているので」。笑顔はない。まだまだチームを勝利に導くアーチを量産していく。(後藤 亮太)