【巨人】上原、2戦連続完全 また1点差登板で抑え、雄たけび

◆巨人3―2阪神(1日・東京ドーム)
情熱を込めて拳を握った。2日続けて、東京ドームに上原の雄たけびが響き渡った。1点リードの8回、3番手で登板。前日に続き、猛虎打線を3人斬りだ。「1点差は気持ち的には嫌ですけど。抑えればうれしい気持ちがでてくる。抑えられてよかったです」。守護神・カミネロにつなぐ任務を、堂々と全うした。
連投の疲労は感じさせない。思いきり右腕を振った。高山を外角へのスプリットで投ゴロに仕留めると、鳥谷は139キロの直球だけで三飛に抑えた。最後は糸井だ。8球全てスプリットを投げ、三ゴロに封じた。1番から始まる強力打線を、わずか12球で黙らせた。
いつだって自分を信じる。近年は日本球界でもメジャーにならい、ボールの回転数やスピードなどを測るハイテク機器「トラックマン」などを球団が導入し、活用している。だが上原が9年間、米球界で活躍して、感じたことがある。データは主にメディアや評論家が大きく取り上げていることで、選手個々はそこまで意識していないという。
「やるのは僕ら生身の人間。コントロールも10球構えたところに10球は間違いなくいかない。データはあくまで過去のこと。そこまでとらわれることはないです」
メジャー市場が停滞し、新天地が決まらず、キャンプにも参加できない異例のオフ。それでも孤独な自主トレで、準備は欠かさなかった。ブルペンでは連日投げ込んだ。巨人復帰が決まってからも、オープン戦登板は3試合のみ。だが開幕に間に合わせ、この日は見事に連投もこなした。「自主トレで連投はやっていた。実戦はまた違うけど、そんなに嫌な感じはなかった」。常に先を見据えていたからこそ、得た結果だ。
開幕カード勝ち越しに貢献。この日、恒例の激しいハイタッチは「けがをしたらいけない」と前日に比べ丁寧だったが、同じセットアッパーを担う沢村だけには、愛情がこもった荒いタッチを見舞った。「ブルペンが良い形でつなげている。自分もいい形でつながないと。これを最後まで続けていけたら」と力を込めた。
由伸監督は継投に「力のある信頼している投手がいる。思い切って行ってもらった」と目を細め、斎藤投手総合コーチも沢村と上原には「いいと思う。使い過ぎて壊したりしないようにね」と信頼を口にした。
3日は43歳の誕生日だ。中日3連戦はナゴヤDが舞台。復帰後初のビジターになる。G党の期待を力に変え、43歳イヤーもさらに進化し続ける。(玉寄 穂波)