【巨人】5連敗で6年ぶり単独最下位…沢村も8回2死走者なしから4失点

スポーツ報知
8回2死一、三塁、代打・乙坂に逆転の2点二塁打を打たれた沢村(カメラ・矢口 亨)

◆巨人3―6DeNA(11日・東京ドーム)

 上原に続き、今度は沢村がDeNA打線の餌食になった。巨人は1点リードの8回、2死を奪った沢村が5連打を浴びて4失点し、逆転負け。5連敗となり、2012年4月以来、6年ぶりの単独最下位に沈んだ。2点を先制された直後の6回に坂本勇、亀井のタイムリーで同点。代打・阿部の押し出し四球で勝ち越したが、1点リードがやっと。ここまで3、4、5番に本塁打がないのは12球団で巨人だけ。現状打破には豪快な一発が必要だ。

 失った流れは戻ってこなかった。9回の粘りも断たれ、逆転負けの事実だけが残った。由伸監督は敗戦を受け止める間もなく、会見に臨んだ。質問のメインは逆転を食らった沢村。だが、責めることはなかった。

 「2死からなんでもったいないんだけどね…。昨日は上原が打たれたけど、でも、今は後ろはこの4人が勝ちパターンの投手。この4人に頑張ってもらうしかない」

 悪夢のような時間が流れた。1点リードの8回、マウンドには4番手の沢村。大和、筒香を簡単に打ち取って2死。ここから、まさかの5連打を食らった。2死一、三塁で代打・乙坂に右中間二塁打を浴び、逆転。カバーに入った本塁ベース後方で膝に両手をついてうなだれた。ここで切ってほしかった。桑原に中前安打で続かれた。戸柱にはダメ押された。場内はDeNAファンの大合唱が響いた。

 勝ちパターン“USA”が2戦連続で崩壊した。10日の初戦は1点リードの8回に上原がKOされた。指揮官は「こんな時もある」と責めることなく、この日はリフレッシュに当て、背番号11を継投から外した。7回を3番手のマシソンが抑え、沢村でつなぎ、9回をカミネロのパターンだったが…。沢村は11試合で7戦目の登板。当然、疲労も残る。ただ、2死無走者からの5連打は言い訳はできない。試合後は「チームが勝ちにいく中で使ってくださっている。結果でチームに貢献しないといけない立場。連敗を止めることができなかったのは僕のせい。監督、コーチ、野手の皆さんに申し訳ないです」と言ったが、相手の勢いを断ち切る精神力を見せない限り、接戦では使いづらい。

 戦前から、由伸監督は勝利の方程式をローテーション化する構想を持った。「4人いる強みをうまく利用しないといけない」。中の一人が打たれれば、誰かが抑えてカバーする。休養も入れながら「誰かを壊すわけにいかないしね」とも話していた。上原が打たれても、沢村で…。こんな願いはむなしく打ち砕かれた。

 開幕11試合で4勝7敗。5連敗で6年ぶりの単独最下位に沈んだ。今、菅野と田口が勝てず苦しい状況下にあり、救援陣は登板過多。歯車はかみ合っていない。こんな時こそ、打線の奮起に期待したいが、頼みのクリーンアップも計0本塁打。3~5番は12球団唯一のノーアーチと、流れを大きく変えられない弱さも重なっている。

 由伸監督は「もっと早くこちらのペースで試合をしていかないといけない」と、常に追う展開の苦しさを打ち明けた。勝ちきれない日々にもどかしさはある。ただ、若返りを図り、生まれ変わろうとしている最中だから、辛抱も必要だ。今は、そんな時なのかもしれない。(水井 基博)

 ◆2012年の巨人 4月は開幕直後に5連敗を2度経験するなど4月25日まで単独最下位に沈み、過去に巨人が優勝したことのない借金7まで膨らんだ。だが、投打がかみ合うようになった5月には10連勝を記録、交流戦でもセ・リーグ初の優勝を飾るなど巻き返し、前半戦を貯金20で首位ターン。後半戦も勢いは衰えず、9月21日のヤクルト戦に勝利して優勝を決めた。この年は最終的に86勝43敗15分の成績で、2位・中日に10・5ゲーム差をつけた。CS最終ステージでも中日に3連敗を喫するも、そこから3連勝と巻き返して突破(アドバンテージ1勝を含む)。日本シリーズでも日本ハムを4勝2敗で下し、3年ぶり22度目の日本一に輝いた。

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